7日に行われたパリオリンピック™のアーティスティックスイミング。日本は、惜しくも5位入賞となりました。

マーメイドジャパン5位入賞 アーティスティックスイミング

小笠原亘キャスター:
アーティスティックスイミングは3日間にわたって行われました。

マーメイドジャパンは▼初日のテクニカルルーティンは3位につけました。▼2日目のフリールーティンは4位、そして▼最終日のアクロバティックルーティンで5位入賞という結果になりました。

キャプテンの吉田萌選手は「自分たちの力は全て出せたと思う。昨日のチームフリーでベースマーク(最低評価)を取ったのが問題だった」と言います。技をやったんだけれども、技と認められずベースマークになってしまったということですが、新しいルールに変わってチームは四苦八苦していたようです。

去年「採点方式」が大幅変更 事前申告通りの技ができていないとみなされると大幅減点

採点方式の変更点を見ていきます。

まず旧ルールでは、技術点・芸術点、演技全体で100点満点でした。

新ルールはフィギュアスケートを参考にしたと言われていますが、演技の構成を事前に申告します。その構成された技に対して申告通りに技が判定されない場合は大幅減点になり、ベースマーク最低評価になってしまいます。

難易度・完成度・芸術点・各選手が揃っているかということを4人の審判が採点するということです。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
この新しいルールは国際水泳連盟の技術員の人に確認しました。これだけ細かくなったということです。各選手が揃っているというのは、つまりシンクロナイゼーション=同時性という意味です。

ホラン千秋キャスター:
ちなみに、その旧型の採点方式から新型になったのは、何を改善するためにここまで変わったのですか。

田中ウルヴェ京さん:
簡単に言ってしまえば難しい技を細かく見て、それに対して加点することにしたということです。難しい技をよりわかりやすく、ちゃんと点数に評価させるということです。

それから事前に技を報告することによって、360度回転のつもりだったのに350度になってしまったみたいなことは見てみないとどれだけできていたかという判断もできないので、事前通告にしたっていうことも大きい変更点です。

ホランキャスター:
以前までは、例えば360度回転なんだけれども、途中で180度に変えても成立していればOKみたいなことだったんですか。

田中ウルヴェ京さん:
各選手がそろっていなかったら同時性で減点されますし、完全に技ができていたかどうかという意味ではエックスキューション(完遂度)で減点されていました。でも、事前にはわからないから技がどの程度できているのかということが即座にわかりにくかったという事情はあります。

井上貴博キャスター:
どんどん大技が出ることによってエンターテインメント性が高まるのはスポーツにとってはいいことだと思いますが、ヘッドコーチがずっとおっしゃってたのが「悔しい」と。「事前申告で『これはダメだろう』と思っていたものが、アメリカの選手を見たら普通にやっていた。情報が日本だけすごく遅れていた」と。「アメリカ・スペインの関係者で作ったもので、なぜこんなに情報が遅れるのか」という発言をしていて、これはどういうことなのでしょうか。

田中ウルヴェ京さん:
情報が遅れていたのか、解釈が違っていたのかということをもう一度ちゃんと聞かなければいけないことはあります。なぜなら、国際連盟のルールを決めるところに日本人の技術委員はいるので、きちんと理解されています。ただ、その解釈が違ったのは事実で、現場の人たちが「今はルールの移行期なので難しい」とおっしゃっていました。

井上キャスター:
情報共有がなされてなかった可能性がありうるってことですか。その情報が遅れていたから点を取りに行けなかったかもしれないし、齟齬があったかもしれない。

田中ウルヴェ京さん:
ただ、技術員はいたし、そしてコーチもわかっていたので、どの程度の解釈の意味だったのかというのが私もまだわからないです。細かくなったがゆえの難しさということだと思っています。

“有料抗議”が話題に…

小笠原キャスター:
ベースマーク(最低評価)になるとかなり点数を減らされるということで、日本は初日のテクニカルルーティンで演技終盤の脚技の抗議をしています。これが認められずにベースマーク(最低評価)を受けたということです。抗議した結果、技が認められて約30点の加算になり、点数が増えて結局メダル圏内に浮上しました。抗議のときにお金を払うという“有料制度”というものも話題になりました。

世界水泳連盟によると抗議制度とは、ベースマーク(最低評価)と判定された場合には競技終了後30分以内の抗議が可能になります。抗議をするのに500スイスフラン(約8万5000円)を支払います。この抗議が認められて評価が変われば、返金されるということです。

SNS上では「抗議が有料って意味が分からない」「サッカーでいうVARが有料みたいな感じ?」「不必要な抗議をさせないための有料化なんだね」という声がありましたが、認識としてはこういうことでいいのでしょうか。

田中ウルヴェ京さん:
今のところ聞いているのは、乱発しないためであって、しっかりどこのベースマークだったのかということを審判に聞いてからのプロテストですね。

井上キャスター:
体操競技でも有料で抗議というのはありますし、サッカーや野球は映像を確認するとある程度すぐ判定が出ますが、やっぱり採点競技で繊細な技を繰り出していると時間がかかるので、乱発させないようにというのはわかる気がします。でも選手としては有料か無料かというのは嫌なものですか。

田中ウルヴェ京さん:
どちらかというと、もう1回ちゃんと判断させてもらえることはいいと思います。なぜなら、お金は抗議が正しければ返金されますから。皆さんに聞くと、「そのお金はユーロのときもあれば5万円のときもある」と伺いました。つまり、大会によって金額は変わると言っていました。お金を用意をするということはルール上で決まっているというふうにおっしゃっていました。細かく見てくれることは良いことではありますよね。

ホランキャスター:
でも慣れるまではやっぱりまだまだ戸惑いも多いでしょうね。

田中ウルヴェ京さん:
去年変わったばかりなので、どう解釈するかっていうことはもちろん今回すごく課題になっているみたいですね。

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<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん

スポーツ心理学者(博士)
1988年ソウル五輪 シンクロ・デュエット 銅メダリスト
こころの学び場コミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

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