パリオリンピック™でフェンシングは、5つのメダルを獲得しました。日本が強くなった理由は何なのでしょうか。国内では嬉しい悲鳴も聞かれています。
■フェンシング男子フルーレ団体金 男女合わせてメダル5つめ
井上貴博キャスター:
パリオリンピック、フェンシング男子フルーレ団体で見事金メダル獲得となりました。今大会フェンシングは、▼男子エペ個人 加納虹輝選手『金』 ▼女子フルーレ団体『銅』 ▼男子エペ団体『銀 』▼女子サーブル団体『銅』と、5つめのメダルです。 日本の競技別メダル数でみると、最も多い柔道に次ぐ数となっています。
世界から注目されるほど“強豪国”になった日本ですが、過去のオリンピックで獲得したメダルは3つです。
▼2008年 北京 男子フルーレ個人 太田雄貴選手『 銀』
▼2012年 ロンドン 男子フルーレ団体『銀』
▼2021年 東京 男子エペ団体 『金』
■フェンシング男女とも大躍進 メダル5つ“量産” 日本なぜ強い?
日本フェンシング協会のホームページによると競技の登録者数は、2009年度は4769人で、2023年度は6813人だそうです。SNSでは「競技人口少ないのに ほんとにすごい!」「日本では超マイナー競技のフェンシングでフランスに勝ってるのは快挙」といった声がありました。
ホラン千秋キャスター:
今大会は日本人1人が強いのではなく、全員が総力となって強かった。どのようなきっかけがあったのでしょうか。
ロンドン五輪 銀メダリスト 三宅 諒さん:
まずは練習会場なのかなと思っています。今までは種目ごとに違うフロアで練習をしていました。しかしここ数年で「ピスト」と呼ばれるフェンシング場が30本くらい作れるような広い場所で、3種目すべての練習ができるようになりました。みんなが同じ場所で練習をするので、お互い切磋琢磨できたことが勝因なのではないかと思います。
ホランキャスター:
(練習の様子を)お互いが見ることで刺激になったということですか?
ロンドン五輪 銀メダリスト 三宅 諒さん:
フェンシングは3種目一緒に試合をする機会が、オリンピックと年に1回ある世界選手権だけです。あとは男女バラバラに試合が行われるので、他の選手の勝敗を試合会場ではなく、練習場で知ることもありました。
練習場が同じ場所になり「どんな練習をしているのだろう」など、お互いが良い意味で刺激し合えるのはとても大事なことだなと思いました。
■手足が長い方が有利 日本の強さは長さではなくチームワーク
ホランキャスター:
また日本の競技人口とメダル獲得の比率で見ると、今大会はかなりの確度で結果を出しています。
パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
背が高い方が有利になるのかなと思っていましたら、日本人選手はスピードがすごかった。
これは技術だけではなく、スピードが(他国の選手よりも)上回っていたということですか?
ロンドン五輪 銀メダリスト 三宅 諒さん:
フェンシングは基本的に手と足が長いと有利です。長い人はフェンシングに向いています。
しかし、今回金メダルを獲得した加納虹輝選手や、フルーレ団体 金メダルの飯村一輝選手は身長がそこまで高くはありません。そこを技術力と剣を使いながらひたむきに突き詰めて、今回の結果に至っているのです。
井上キャスター:
日本人選手は手足の長さだけではない要素があるということですか?
ロンドン五輪 銀メダリスト 三宅 諒さん:
個人の技術に関しては、個人差があるのですが、団体戦は日本人に向いているなと思います。
団体戦は45点を取り合うのですが、選手1人1人が交代していくことによって求められる役割が流動的に変わっていきます。
自分勝手に点数を取りたいだけ取るのは上手くいきません。大事なのはチームワークです。「この場面リスクを取ってでも攻めなきゃいけないけどいい?」と振り返って、後ろにいる選手が「いいよ」っていうようなマインドが日本人には向いていると思います。
過去のオリンピック、ロンドンや東京でも団体でメダルを獲得しました。今後も団体戦の戦い方を課題にしてより強くなっていくのではないでしょうか。
井上キャスター:
フェンシングの人気が高まり、競技人口の増加に繋がりそうです。今一度フェンシングの魅力を教えてください。
ロンドン五輪 銀メダリスト 三宅 諒さん:
フェンシングは“格闘技版チェス”と言われていて、とにかく考える格闘技です。色々な課題にチャレンジしたり、工夫したりするところが魅力的な競技ですね。
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<プロフィール>
ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック、アース製薬の社外取締役など
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