パリ五輪が始まった。自転車のトラック競技の代表13人のうち5人を占めるのが、静岡県三島市を拠点とする「チームブリヂストンサイクリング」の選手たちだ。東京五輪を控え、競技場に近い三島市に拠点を移したが、メダルを獲得できなかった。創設から60年を迎えた国内トップチームはパリで悲願のメダル獲得を目指している。
練習環境の整った三島に移転
この記事の画像(15枚)チームブリヂストンサイクリングが静岡県三島市を拠点とするようになったのは2018年、今から6年前だ。
当初は東京五輪でのメダル獲得が目標で、トラック競技の会場になる伊豆ベロドロームやロード競技の会場となる富士スピードウエイが近いことが三島に移った理由だった。
迎えた東京五輪。
ブリヂストンからは選手2人が夢舞台への出場を果たしたが、健闘及ばずメダルを手にすることはできなかった。
オムニアムに出場した橋本英也 選手は「東京五輪ではコテンパンにやられた。もともと体力が足りないなと思っていて、持久力もスピードも足りなかった」と振り返る。
自転車トラック競技に5人出場
ただ、東京五輪に向けて整えられた代表チームの強化体制はパリに向けても継続されることになり、選手たちは伊豆ベロドロームを拠点に海外でのレース経験を重ね、メダルを狙えるまでに進化。
ブリヂストンのメンバーたちも本戦の出場枠獲得に向けた国際レースで活躍し、今回、自転車トラック競技に出場する代表メンバー13人のうち5人を占める。
オムニアムでリオ五輪の出場した窪木一茂 選手は「自信があるというか、他の強い国の選手におびえていない自分がいる。強気な自分がいて、(パリが)待ち遠しい感じ」と意気込む。
創設60年 悲願の初メダルなるか
2024年でチームの創設からちょうど60年になるブリヂストン。
これまで数多くの五輪代表選手を輩出しているが、意外なことにメダルの獲得はなく、それだけに選手も並々ならぬ思いを持っている。
自転車のトラック競技は男女それぞれ6種目あり、パリ五輪ではすべての種目にリヂストンのメンバーが出場する。
3人一組で速さを競う「チームスプリント」代表の座をつかんだのが長迫吉拓 選手だ。
長迫吉拓 選手:
実力的にはかなりメダルに近いポジションでオリンピックに行くのは初めてで、このチャンスをしっかりつかみたい
また、太田りゆ選手は1対1で戦う「スプリント」と、日本発祥の「ケイリン」でメダルを狙う。
太田りゆ選手:
パリ五輪では自分史上最高の状態でメダルを目指して走れるように頑張る
一方、1人で4つのレースを走る「オムニアム」には窪木一茂 選手が出場する。
窪木一茂 選手:
2度目のオリンピックになりますが、支えてもらったたくさんの方々に感謝して、思いっきりレースを走ってきたい
そして、2人一組で交代しながら戦う「マディソン」で窪木選手とペアを組むのが東京五輪に続く2大会連続出場となる橋本英也 選手だ。
橋本英也 選手:
今回は2度目のオリンピックに出場する。マディソンで金メダルを持って帰れるように、そして帰りの機内で笑って帰れるように
さらに4人一組で速さを競う「チームパシュート」には窪木選手、橋本選手と共に今村駿介 選手が出場する。
今村駿介 選手:
僕にとって今までの競技人生で一番大きな舞台になります。この2年間チームみんなでチャレンジしてきた思いを胸に頑張りたい
「何色のメダルでもきれいだ」
パリ五輪まで1カ月と迫った2024年6月。この日、開かれたのはチームの食事会だ。
代表争いの緊張から解き放たれ、普段は食事制限のある選手たちも焼肉に次々と箸を伸ばす。代表入りを果たした選手と涙をのんだ選手。明暗は分かれたが、全員が一緒に走り続けてきた仲間であり心を1つにした。
長迫吉拓 選手:
何色のメダルでもきれいだと思うので、まずはメダルを自分の手でつかみたい
太田りゆ選手:
前回はメダルを目指すということすらできなかったので、メダルを目指して一生懸命にレースをしてきたいと思います
窪木一茂 選手:
2回目のオリンピックとなるので、前回のオリンピックの反省を踏まえて3種目に出るので1つでもメダルに絡めれば最高だと思います
橋本英也 選手:
今回のパリのオリンピックでは金メダルを持って帰って来られるように頑張ってきたい
今村駿介 選手:
日本記録の更新もできると思っているので、ぜひ楽しみにしていてください
チームブリヂストンサイクリングにとっても悲願である五輪でのメダル獲得に向け、その視界は良好だ。
※自転車トラック競技は8月6~11日に実施
(テレビ静岡)
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