強度の高いディフェンスで横浜BCを圧倒
4月17日にウィングアリーナ刈谷で行われた横浜ビー・コルセアーズとのナイトゲーム。シーホース三河は77-55で勝利し、CS出場に一歩近づいた。
三河は横浜BCのキープレイヤー・河村勇輝を自由にさせないように、西田優大にマークを託す。西田は高さとフィジカルのアドバンテージを生かし、河村を抑えることで相手にリズムを作らせない。このディフェンスが功を奏し、前半を44-19と大量リードで折り返す。
大きく点差が開いてしまうと、集中力を維持するのは難しいもの。試合後、ライアン・リッチマンHCも「大量リードからリードを維持し、さらに突き放すのは簡単なことではありません」と話し、3Qに入ると横浜BCの反撃に見舞われる。しかし、今日のゲームでは簡単に崩れず、終始リードを維持したままゲームをクロージング。CS出場の可能性を失っている横浜BCは、モチベーション的に難しい部分もあっただろう。そこも大量点差につながった要因かもしれない。
リッチマンHCは「選手たちは40分間、ハードにプレーし切ることを実行してくれました。言葉にすることは簡単ですが、遂行することは簡単ではありません。試合を通して集中力の高いディフェンスができたと思います」と評価した。
この日も三河のセカンドユニットが存在感を見せた。セカンドユニットは、長野誠史、角野亮伍、シェーファーアヴィ幸樹がコートに立ち、ここにダバンテ・ガードナーが加わることが多い。昨シーズンから一緒にプレーしてきたメンバーだ。
角野は「僕個人としてはふわっと入ってしまったところがあって、正直よくなかったです」と、横浜BC戦については反省を述べた。ただ、最近はセカンドユニットが試合をひっくり返すことが多い。個々のプレータイムを見ると、スタートの選手とほとんど変わらない。むしろ、ベンチからスタートした選手のほうが長くプレーする試合も増えてきた。三河の層が厚くなってきた証拠だ。
角野は言う。「セカンドのメンバーは、スタートのメンバーに負けている気はまったくないですし、僕たちには僕たちの良さがあります。ディフェンスをハードにやって、走って、ノーマークになったら積極的にシュートを打つ。ファーストユニットと比べて、まったくペースの違うバスケットができる。ここ最近、勝てなかった試合でもセカンドユニットがハマったゲームはありましたし、そこには自信を持っています」
自身のプレーについても「自分の中で得点のリズムが合ってきた」と言う。「ライアンは常に新しいことに挑戦するというか、相手に応じたセットを用意してくれます。僕をファーストオプションで使ってくれるセットもあって、うれしさもあれば、期待に応えないといけないプレッシャーも感じています。でも、それがプロのバスケの世界。いい環境でプレーできています」
選手たちのミーティングで強まった結束
さかのぼること1週間前。4月10日のファイティングイーグルス名古屋戦で、三河は痛恨の黒星を喫した。3月27日の三遠ネオフェニックス戦から始まった地区上位チームとの連戦で負けを重ねつつも、手応えをつかんだ矢先の出来事だった。週末には中地区2位を争うサンロッカーズ渋谷戦が控えていて、連敗すれば3位に転落する状況に。
いいゲームをしても結果がついてこない。選手たちにも危機感があったのだろう。そこで「選手だけでミーティングを開きました」と角野は教えてくれた。
「木曜日はオフで、金曜日(4月12日)の練習前、僕と石井さん、柏木さん、晃佑さん(橋本晃佑)、優大(西田優大)でシューティングをしていたとき、『ミーティングをしたほうがいいんじゃないか』ってなって。グループLINEで連絡して、ロッカールームに選手が集まりました。別に深刻な雰囲気ではないですけど、選手だけで思っていることを話しました」
悪いときは審判にアピールしてしまっていること。個人で打開しようとしていること。一方、いいときはしっかりとセットを組んで攻めていることなど、それぞれが思っていることを話し合った。角野は「本音で話せて、いい機会でした」と言い、それがSR渋谷戦や横浜BC戦につながった。
今週末は川崎ブレイブサンダース戦。中地区2位を争うライバルであり、天皇杯も合わせて今シーズンは3敗を喫した相手だ。ただ、角野はそこまで意識していない。
「川崎とはシーズン序盤で戦ったので、今はお互いまったく違うチームになっています。僕たちが連勝していたとき、ようやくファーストとセカンドのリズムが噛み合ってきた。三遠にもA東京にもSR渋谷にも勝てました。今の僕らがベストだと思っていますし、大切なのは僕らのバスケをどれだけやれるか。やり返そうと思ってそれぞれが違うことをしてしまうと、チームはバラバラになってしまう。正しい場所で1対1をすればみんな得点が取れますし、自分たちのバスケを貫けば連勝できる自信はあります」
リッチマンHCは常々「1%のカイゼン」を口にする。昨日よりも今日、今日よりも明日がよくなるように。今の三河がベストであり、明日の三河はそのベストを更新できる。角野もチームの成長を実感している。
シーズンは残り6試合。川崎戦に限らず、CS出場が決まるまで負けられる試合は一つもない。それはCS出場を競うライバルにとっても同じこと。熱い熱い週末がもうすぐやってくる。
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