パリオリンピック™の出場を辞退した体操・女子日本代表・宮田笙子選手。所属先の順天堂大学の声明が物議を醸しています。
■体操女子 宮田選手 “喫煙・飲酒” パリ五輪辞退に波紋
井上貴博キャスター:
ルールはもちろん大切なものですが、その一方で、寛容な社会であることも必要だと感じます。
女子体操界の新世代エース、体操女子日本代表の主将・宮田選手(19)。
日本体操協会の聞き取り調査の結果、今年6月から7月にかけて、プライベートで喫煙を1回。そして、ナショナルトレーニングセンターの宿泊施設内の自室で飲酒を1回したことが今わかっています。
「日本体操協会行動規範」などに違反したとして、パリオリンピック™出場辞退という流れになりました。
「日本体操協会行動規範」では、日本代表チームとしての活動場所において▼20歳以上であっても原則的に喫煙は禁止、▼20歳以上であっても飲酒は禁止ということになっています。
そして物議を醸したのが、宮田選手が所属している順天堂大学のコメントです。
「教育的配慮の点から、常習性のない喫煙であれば、本人の真摯な反省を前提に十分な教育指導をした上で、オリンピックに出場することもあり得ると考えておりました」(HPより一部抜粋)
■元日本代表「プレッシャーはあったと思う」「違反が明確になった時点でこの判断は妥当」
この宮田選手の辞退に対し、元日本代表の2人に話を聞きました。
元体操男子日本代表の池谷幸雄さんは、「残念で仕方がない。エースとして、ものすごくプレッシャーがあったと思う」と話し、喫煙については「体操競技は精神的なプレッシャーが大きい。それを和らげるために、男子選手を中心に喫煙する選手は多い」。
また行動規範については「未成年者と成人が一緒に行動するので、未成年者に合わせて厳しくなっていると思う」とおっしゃっていました。
元競泳日本代表の松田丈志さんは「体操協会が定めたチーム規範に違反している事が明確になった時点で、体操協会の判断は妥当」。
その上で、なぜ周りが気付かなかったのかというと「指導者が選手の行動を把握し、もっと早い段階から指導監督することはできたと思う。責任は選手だけではないと思う」と言います。
また、飲酒・喫煙の理由がプレッシャーだったのかということに関しては「喫煙や飲酒に依存していては世界では戦えない。もしプレッシャーを多く感じているのであれば、それをコントロールする方法を学ぶ必要がある」と話していました。
今回の処分に至るまでの経緯があまり情報として上がってきていません。内部調査だけではなく、第三者機関でしっかりと調査すべきだったのではないでしょうか。
また、他の競技とのルールの統一もなされていないということ、宮田選手が大きな社会的制裁を受けているということを考えると、また同じ環境に戻ってこれるような環境整備、セカンドチャンスを作れる社会であるべきなのではないかと感じます。
産婦人科医 宋美玄さん:
プレッシャーがあって、タバコを吸ったりお酒を飲んだりすることがあるかもしれないが、やはり無限に依存されても困るので線引きは絶対に必要だと思います。
今回に関しては内部告発という話もあるが、事実としてどれぐらい喫煙・飲酒していたかなどの実態がわからないので、表に出ている情報だけで判断するのは難しいなと感じます。
まだ未成年が喫煙していた私の世代からは時代も変わり、日本代表を背負っているのだから、ルールは守って欲しかったという意見もよくわかります。
ホラン千秋キャスター:
順天堂大学のコメントは、学生を教育してサポートする教育機関からの意見として考えると私は理解できます。大学によっては、退学させるという厳しい判断をするところもあるかもしれないが、反省をすることを前提に、機会を失わないでほしいという教育方針のもとの大学なわけですよね。
協会としてはスポンサーもいるし、他の選手もいるし、ルールがあるのにそれを破った選手の機会を守って、なぜそのルールを守っていた選手の機会が守られないのかという不満に対して、フェアに納得のいく説明ができるのかということを考えると、パリ五輪の出場辞退という協会の判断もありうると思います。
産婦人科医 宋美玄さん:
もちろん再出発ができるようになるべきだと思うが、それが今回のオリンピックなのか、また次回以降なのかというのも判断が難しいと思います。
井上キャスター:
他の競技との公平性も担保してほしいという点もある。なぜ他の競技でOKで、体操ではダメなのかとも思います。
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<プロフィール>
宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信し、女性の性に関する著書が人気
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