上位4チームの順位が目まぐるしく変わる混戦のセ・リーグ。オールスター休みを前に少しでも貯金を増やしたい広島カープは、週末(7月19日~21日)、阪神と対戦しました。

7月19日(金)阪神 vs. 広島(甲子園)

オールスター前、最後の3連戦となった甲子園での阪神戦。金曜日の初戦、先発マウンドに上がったのは、ここまで8勝を挙げているチームの勝ち頭、床田寛樹 。阪神先発の 村上頌樹 とは早くも今シーズン5度目の直接対決です。

床田は、課題の立ち上がりにいきなりノーアウト・2塁・1塁のピンチを背負います。しかし、クリーンアップを落ち着いて打ち取り、無失点でしのぐとリズムに乗ります。

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
「本当にこの初回がすべてだったんじゃないかというぐらい、すばらしいピッチングを見せてくれました」

床田を援護したい打線は5回、この日、今シーズン初の1軍昇格で即スタメン、さらにプロ入り初の5番で起用された 中村貴浩 。ベンチの期待に応え、センター前ヒットを放ちます。

その後、相手のエラーもあってノーアウト・満塁と絶好の場面を迎えると、打席には8番・シャイナー。期待の長打とはなりませんでしたが、内野ゴロの間に1点を先制します。

天谷宗一郎 さん
「先制点を取りに行くことをチーム全体で共有していると思うんですけども、それがしっかりできたのが大きかったです」

1点リードをもらった床田でしたが、7回、三連打を浴びてノーアウト・満塁と絶体絶命の場面を迎えます。ここで「絶対にゼロで帰ろうと最後の力を振り絞って投げた」という床田。坂本誠志郎 をダブルプレーに切って取ると、続く 木浪聖也 も外野フライに打ち取り、この大ピンチを無失点でしのぎ、マウンドをリリーフ陣に託します。

床田寛樹 7回 球数107 被安打7 奪三振6 与四球0 失点0

そして、守護神・栗林良吏 が上がった最終回。クリーンアップから始まる嫌な打順でしたが、先頭の3番・森下翔太 の当たりを途中出場の 上本崇司 が背走してスーパーキャッチ。ファインプレーで栗林を助けます。

天谷宗一郎 さん
「すばらしいプレーです。新井貴浩 監督がここまで身を乗り出して、手をたたくわけですから。本当に大きかったプレーです」

このあとは栗林がきっちり締めてゲームセット。きん差の試合をものにしたカープは、7日以来の首位に返り咲き。床田は、難敵・村上との直接対決を制し、セ・リーグ単独トップの9勝目を挙げました。(阪神 0ー1 広島)

広島カープ 床田寛樹 投手
「自分だけじゃなくて、打って守って、それをつないでくれる人たちのおかげでここまで勝てたので、これからも助けてほしいなと思います」

7月20日(土)阪神 vs. 広島(甲子園)

土曜日の2戦目、“炎のストッパー” 津田恒美 さんの命日に先発マウンドに上がったのは、背番号14を受け継いだ 大瀬良大地 。ここまで防御率0.88と絶好調の大瀬良は、この試合も先輩に恥じない投球を見せます。

序盤から阪神打線を手玉に取り、4回まで1人の走者も出さないパーフェクトピッチング。5回に連打で2塁・1塁のピンチを招きますが、ここは注文どおりダブルプレーに打ち取ります。

結局、大瀬良は、7回を投げて無失点。防御率はさらに下がって驚異の0.82となりました。

大瀬良大地 7回 球数98 被安打4 奪三振1 失点0 防御率0.82

天谷宗一郎 さん
「本当にすごい数字です。大瀬良投手もすごいんですけどもバックの集中力もすごくきわ立っていました」

試合は両チーム無得点のまま延長戦に突入し、迎えた11回、カープは相手のミスからノーアウト・満塁のチャンスを得ます。

ここで打席には7月、打撃好調の4番・小園海斗 。センターへの犠牲フライが決勝点となり、2試合連続で接戦を制したカープ、甲子園での阪神戦の連勝を6に伸ばしました。(阪神 0ー1 広島)

広島カープ 小園海斗 選手
「本当になかなか点数が入らなくて、重い雰囲気だったんですけどもチャンスを作ってもらって、まあ、4番なので決められてよかったです。(打順は)4番目なので、しっかりと仕事をして塁に出て、還してもらえるように “つなぐ野球” というのを忘れずにやっていけたらなと思います」

7月21日(日)阪神 vs. 広島(甲子園)

トラ相手に一気に同一カード3連勝と行きたいカープは2回、連打でノーアウト・3塁・1塁のチャンスを作ります。打席には7番・矢野雅哉 。

ここでベンチがとった作戦は、ランエンドヒット。ショートへの内野安打でスタートを切っていた3塁走者の 坂倉将吾 がホームイン。3試合続けて先制に成功します。

天谷宗一郎 さん
「3塁へのエンドランって本当にアグレッシブなサインなんですけども、選手がしっかりと理解して、しっかりと表現しています」

その後、阪神に逆転を許し、12対2と大量リードされた7回、マウンドに上がったのは、入団2年目でプロ初登板となった 長谷部銀次 。ランナー1人を許しますが、続く打者をダブルプレーで打ち取り、記念の初登板を無失点で終えました。

長谷部銀次 1回 球数11 被安打0 奪三振0 与四球1 失点0

試合はその後、最終回に1点を返しますが、今シーズン最多失点で敗れたカープ。前半戦を終え、首位・巨人と1ゲーム差の2位で折り返しです。(阪神 12ー3 広島)

  ◇  ◇  ◇

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
ピッチャー陣のがんばりが目立ったカードだったと思います。床田投手も初回にピンチを背負ってしまったんですけども、あのあとの粘りというところがこのきん差に持っていったと思いますし、相手ピッチャーも村上投手ということもあって、なかなか点が取れないことはわかっていたと思うんです。その中で若い(中村貴浩)選手がしっかりと形をつくってつないでいく。カープらしい野球を見せてもらえたなと思います。

田村友里 キャスター
でもセ・リーグは本当に大混戦だから、もう何点だろうが勝つと負けるでは大きな差ですよね。

天谷宗一郎 さん
もちろん、そこはあるんですけども、相手があることなので。確かに取りこぼしはできなんですけども、ただピッチャーがいいので。先発陣もそうなんですけど、後ろを投げるリリーフ陣、長谷部投手がこの時期に来て、しっかりとゼロに抑えた。これでまた中継ぎ陣は層が厚くなるわけですから、本当に楽しみな後半戦が待っていると思います。

青山高治 キャスター
日曜の 九里亜蓮 投手は、登板間隔が空いたりして調整が難しかったこともあると思いますけど、先発ローテーション・中継ぎ・抑えと本当に投手陣、すばらしい。

天谷宗一郎 さん
だからこそ、野手陣ですよね。野手陣が1点でも取って、ピッチャー陣が楽に投げられる展開を作ってほしいと思います。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。