今年に入り、陸上の短距離界に彗星のごとく現れた広島大学工学部4年生の山本匠真。400mリレーと100mでパリオリンピックの代表入りを狙うシンデレラボーイを取材しました。

鍛え抜かれた身体が生み出すスピードとパワー。トレーニング用のバイクを必死に漕ぐのが、陸上界の新星・山本匠真です。

山本の練習拠点は広島県東広島市にある広島大学陸上競技場。無名のランナーだった山本は今年、この場所から世界に羽ばたきました。

山本匠真
「こんなに早くベストが出るとも思ってなかったし、そういう代表に選んで頂ける機会に繋がるとも思ってなかったので、そこはだいぶ予想外というか、プラン通りではないかなと思っています」

廿日市市出身の山本匠真。小学校まではサッカー少年でしたが中学時代から陸上を始めます。

国泰寺高校に進学後も陸上部に所属。しかし、3年生の時、新型コロナによる部活動の停止や受験勉強で陸上から離れる時間が長くなり、大学では競技を続けないつもりでした。ところが、入学後、先輩に誘われた練習見学で心が揺らぎます。

山本匠真
「見学するだけのつもりで来たんですけど、いざ他人が走ってるのを見てみると、『なんで運動着持ってこなかったんだろう』ってすごい後悔しちゃって、やっぱ自分、陸上好きなんだっていうのをタータンで走ってる人みてすごく思っちゃって、すごい羨ましいと思っちゃったんですよ。陸上好きなんだって改めて気づいて今度は体験に行って走ってみてそれを強く感じてもともと雰囲気良いと分かっていたので入部した」

練習メニューは個人個人で考える広島大学。中学時代から、自分で自分の身体に合う走りを研究してきた山本はその練習環境でみずからも驚く急成長を見せます。
山本の名が世界にとどろいたのは5月に開催された世界リレー。男子400mリレー決勝で日本の第一走者を務めました。

山本匠真
「緊張感でっていう話をするなら、どっちかっていうとレースの走る前だとか、アップの時だとか、そういったところの緊張感は凄まじかったですね。今から日本代表、日本を背負って走ることになるんだっていうイメージがどうしても自分の中にあって、大きな舞台で演出もすごい派手なので、そういった中で堂々と紹介してもらえたので持ってた緊張感もすごい吹っ切れてここまでになったらもうやるしかないんだっていう覚悟が決まったって言うか」

この大会で男子400mリレーのパリオリンピック出場権を獲得した日本。オリンピックのリレー代表候補になった山本は日本代表への思いが強くなりました。

山本匠真
「次こそは同じ舞台でこういった(トップ)選手相手に食らいついて、なんなら前に先頭に立って日本に貢献するような走りをしたいなっていう気持ちが、やっぱり終わってからは一番、心に残ってる気持ちですね」

帰国後も自己ベストを更新し、100mのパリオリンピック参加標準記録、9秒台も見えてきた山本。来週、新潟で行われる日本選手権での3位以内、そしてその先にあるリレーの日本代表を目指します。

山本匠真
「こういう普通の工学部の普通の大学生でも頑張ればここまで活躍できるんだ、だったら自分ももっといけるんじゃないかなっていう、そう思ってもらえるような距離感の近い選手を目指していけたらなって思います。それで『自分もひょとしたらもっといけるんじゃないかな』って思って頑張ってくれるようなアスリートがもっと増えてくれると、自分としてもすごい嬉しいなって思います」

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