そもそもNUCとは,Intelが「Next Unit of Computing」として提唱した小型PCの呼び名だ。「ミニPC」と呼ばれることもあるとおり,ノートPCよりもフットプリントの小さなボディに,CPUやメインメモリ,内蔵ストレージにインタフェース類など,PCとして機能するのに必要な部品一式を内蔵したものである。
ただ,一般的なNUCは,グラフィックス機能としてCPUに組み込まれたグラフィックス機能(統合GPU)を使うことが多く,ゲーム用途に使うにはグラフィックス性能面で物足りないのが普通だ。ゲーム用途に十分な性能を有する単体GPUを内蔵するNUCもあるが,GPUやCPUのアップグレードがほぼできないので,ゲーマー向け製品としては,かなりマイナーな部類である。
前置きが長くなったが,ROG NUCについて見ていこう。
本製品は,容積2.5ℓ,公称本体サイズは144(W)×112(D)×41(H)mmというコンパクトな筐体に,IntelのノートPC向けCPU「Core Ultra」の「Core Ultra 9 185H」や「Core Ultra 7 155」を,GPUにはNVIDIAのノートPC向け「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」を搭載するPCだ。
ラインナップは以下のとおり。
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RNUC14SRKU9189AJI
CPU:Core Ultra 9 185H,GPU:GeForce RTX 4070 Laptop GPU,メインメモリ容量:32GB(16GB×2),内蔵ストレージ容量:1TB,35万5600円 -
RNUC14SRKU7168AJI
CPU:Core Ultra 7 155H,GPU:GeForce RTX 4060 Laptop GPU,メインメモリ容量:16GB(8GB×2),内蔵ストレージ容量:512GB,27万6600円
スペック的には,ゲーマー向けノートPCの「ROG Zephyrus G16」と似たようなものなので,性能的にはほぼ同等と思われる。一応断っておくと,NUCはバッテリーを内蔵していないので,電源のないところでは使えない。
ノートPCと比べたときのROG NUCの利点に,内部の拡張性が上げられる。さすがにCPUやGPUをユーザーが交換することはできないが,ストレージ用のM.2 SSDスロットを3つ備えているのだ。ノートPCでは内蔵ストレージの不足に悩まされても,製品保証が失われることを覚悟して自力でストレージを差し替えるくらいしか対応手段がない。その点,ROG NUCはユーザーがストレージを追加で内蔵できるので,ストレージ不足に対応しやすいわけだ。
また,メモリモジュールもノートPCで一般的なSO-DIMM(DDR5-5600)を2スロット分備えているので,メモリ不足を感じたときに,メモリモジュールを交換して増量することが可能だ。
ゲーマー向けPCと言えば,グラフィックスカードやCPU,マザーボードやストレージをユーザーが交換できる拡張性に優れた大型のデスクトップPCが主流ではある。ROG NUCは,そうした拡張性重視のPCを置き換えるようなものではない。価格対スペック比がいいとは言えないが,設置場所の制限がある環境や,拡張性を重視しない用途であれば,ゲーマー向けノートPCとは別の選択肢として,ゲーマー向けNUCを選ぶというのもアリではないだろうか。
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