Sony Interactive Entertainment(以下,SIE)は,Arrowhead Game Studiosが開発を手がけるSFサードパーソンシューター「HELLDIVERS 2」のPC(Steam)版について,PlayStation Network(以下,PSN)アカウントの連携が必須になると発表したことで,多くのファンが批判的なレビューを投稿するなどの事態を受けて,「計画を撤回する」とPlayStation公式Xアカウントでアナウンス(リンク)した。


 SIEは,2024年5月3日にSteam版ユーザーに向けて,新規プレイヤーは5月6日から,既存プレイヤーは5月30日(地域によっては6月4日)までに,SteamとPSNのアカウントを連携するように発表。これを受けて,Steamでは日本を含む177か国でHELLDIVERS 2の販売を停止するなどの対応も行われた(リンク)。

5月3日に公開されたSteamストアページ(リンク)のメッセージより

 さらにイギリスやアイルランドでは,PSNの取得の際には政府発行のID番号やバイオメトリックデータといった個人情報の提出が義務付けられており,情報漏洩などに慎重なプレイヤーにとっては,Steam上でHELLDIVERS 2をプレイできることに大きな魅力があった。そのため,こうした地域のファンは,SIEの発表後から2万件を超える批判的なレビューをSteamに書き込むなど大きく炎上し,その余波はほかのArrowhead Game Studiosタイトルのレビューにまで飛び火するなどの問題に発展した。

 事態が収拾しないこともあり,5月5日にはArrowhead Game StudiosのCEOでクリエイティブ・ディレクターを務めるヨハン・ピレステッド(Johan Polestedt)氏は,「コミュニティのためにすべてをお話ししますが,私に最終的な決定権はありません」と自身の公式Xアカウント(リンク)に投稿している。

 現時点で確証はないものの,PSNとの連携は2月のHELLDIVERS 2のローンチ時点で計画されながら遅れていたという噂もあり,それならば最初からPSNのサービスが行われていない地域で販売すべきではなかったという批判にもつながっていた。

 こうした大炎上を受けて,SIEは5月6日にPlayStation公式Xアカウントで,「HELLDIVERSファンの皆さん,私たちは皆さんのフィードバックを受け,このアカウント連携の計画を取りやめることにしました」と発表。「我々はまだ,PCプレイヤーにとっては何がベストなことなのかを学んでいる途中ですが,皆さんのフィードバックの価値は理解しています。サポートしていただいていることに感謝し,今後の計画はあらためて発表します」と続けている。

 これについてピレステッド氏もメッセージをポスト(リンク)し,「共にライブゲームの新しいスタンダードを作っていきたい」と,SIEの迅速な行動を評価している。

 この混乱に合わせて,HELLDIVERS 2のファンの1人が同作のSteamユーザーレビューの推移を表現した4本線を“コミュニティの民主主義の象徴”として投稿したものにピレステッド氏も反応。「ケープ(マント)のデザインとしては面白い」と評したことにコミュニティのメンバーは盛り上がっていた。

 「好評」だった以前のSteamユーザーレビューに戻るには時間がかかるかもしれないが,こうしたコミュニティとの肩の力を抜いたやり取りも,Arrowhead Game Studiosの良さの1つとして受け止められつつあるようだ。

この数日間にわたるSteamストアページ上での低レビューの推移が,今回の“民主主義の勝利の象徴”として,インゲームアイテムのデザインに採用されそうな勢いだ


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