だが,自由な時間があるならゲームに使いたいのがゲーマーでもある。そこでプレイしたいのが,スマートフォンやタブレット向けの位置情報ゲームだ。「Pokémon GO」(iOS / Android。以下,ポケモンGO),「ドラゴンクエストウォーク」(iOS / Android。以下,DQウォーク),「信長の野望 出陣」(iOS / Android),「モンスターハンターNow」(iOS / Android。以下,モンハンNow)など,人気IPタイトルが目白押しのジャンルでもある。
どれも魅力的なタイトルなので,1つだけを選ぶのはなかなか難しい。また,せっかく外出するのなら,その歩行距離や歩数を複数のタイトルで利用できないだろうか?
……ということで,この4タイトルを使って,実際にやっている人はそういないであろう,並行プレイにチャレンジしてみることにした。
各ゲームのメイン部分がバックグラウンドでは動作しないという理由から,複数のスマホやタブレットを用意し,のんびりと散歩をしながら楽しんでみた,各タイトルの序盤の体験をレポートしよう。
4月某日(1)
まずはキャラメイク。そして,ゲーム中に注意すること
なにかと最低限の外出で済ませようとする出不精の筆者だけに,最近はとにかく運動不足。位置情報ゲームの力を借りつつ,日常の中で「歩くこと」を意識できるのはとてもいい機会だといえる。
まずは準備ということで,キャラメイク。後から変更もできるようなので,手早く作ることにする。
ポケモンGOより | DQウォークより |
信長の野望 出陣より | モンハンNowより |
位置情報ゲームのプレイで基本となるのは,もちろん「歩くこと」だが,それ以前に大事なことがある。それは「ながらスマホ(歩きスマホ)をしない」ことだ。
近年,一部の自治体では「ながらスマホ」を禁止する条例が制定されているし,そもそも前方を見ずに歩くことだけでも本当に危険なので,この点には十分気を付けていきたい。
ポケモンGOより | DQウォークより |
信長の野望 出陣より | モンハンNowより |
そんな感じでプレイを始め,4つのタイトルに何日か軽く触れてみた印象は,次のような感じである。
●ポケモンGO
ポケモンの探索・収集・育成が目的で,アクション性あり。対人やチームバトル要素も。
●DQウォーク
RPG。他作品と比べてシナリオ重視,協力プレイあり。
●信長の野望 出陣
目的は領地の拡大で,そのために武将の登用と育成が必要。対人バトルあり。
●モンハンNow
アクション要素あり(高め)。モンスターとのバトル,装備の生産と強化,協力プレイあり。
ポケモンGOとモンハンNowは,片手の操作では難しい場面もあるくらいのアクション性なので,同時にプレイすると,身体だけでなく反射神経の負担も大きくなるような気がする。4タイトルではなく2タイトルを並行してプレイするなら,このうち1本をDQウォークまたは信長の野望 出陣と組み合わせると,バランスが取れていいかもしれない。
プレイを始めたばかりの筆者は,「仲間のスライムと一緒に歩きながら,モンスターボールを武将に投げ付けてハントし,HPが減ったら領地から得た小判を使って宿屋で休む」くらいの勢いで混乱しているが,そのうち慣れてくるものだと信じたい。
ポケモンGOは2016年リリースということもあり,ジムには強そうなポケモンばかり。今回,筆者にできたのは黄色の味方チームの回復くらい…… | DQウォークでも,最初に戦うのはこのモンスター。敵だけではなく,冒険のガイド役としても,スライムの「スラミチ」が登場する |
信長の野望 出陣では,町中の農民や商人をタップして声をかけ,忠誠度を高めつつ,武将も積極的に登用し自軍を育て合戦に臨む | モンハンNowのバトルでは,敵の攻撃に合わせて回避したり,隙をついてSPスキルを放ったりと,かなり忙しい |
4月某日(2)
4つのゲームはそれぞれどんなマップ?
ポケモンGOとモンスターハンターNowは,ともにNianticが開発に関わっている一方で,ドラゴンクエストウォークと信長の野望 出陣ではマップボックス社の地図データがベースに使用されていると聞く。
では,同じ場所はそれぞれのゲームでどのように表示されるのだろうか? 通常よりも引いたときのマップをちょっと比べてみることにしよう。
ポケモンGOより | モンハンNowより |
DQウォークより | 信長の野望 出陣より |
タップできるスポットの数は,パッと見だとポケモンGOでその多さが目立つだろうか。タイトルごとにそうしたスポットの位置は少しずつ異なっているが,大きな通りや交差点に偏り過ぎることもなく,路地にもちゃんとスポットがある。
これ以外にも,敵などのオブジェクトが突然マップ上に出現することもあるので,目指す場所にたどり着くまで何もすることがないということはまずないし、「ポイントが同じ場所にあるから効率的にプレイできる」という,地図データによるベストなタイトルの組み合わせもなさそうだ。なので,あまりマップの違いについては気にしなくていいのではないかと思う。レベルが上がってくると,見えるスポットの数や種類が変わってくることがあるかもしれないが。
4月某日(3)
並行プレイをアシストしてくれるシステムがある
たとえ画面を見ていなくても,近くに未発見のポケモンがいたらバイブレーションで教えてくれたり,無料でもらえる支給品があれば受け取り忘れがないようにオトモアイルーが知らせてくれたりといった機能は,ことさら並行プレイではありがたい。
通知に気付いて立ち止まっては操作し,ひと通りの作業が終わればまた歩く,といったプレイを少し繰り返していると,DQウォークに「ウォークモード」なる機能があることに気付く。
これは自動で戦闘を行って経験値を稼いでくれるという,まるで並行プレイのために用意されたかのようなモード。ただし,プレイヤーが移動中にエンカウントしたモンスターとしか戦えない。最初は「もしかして歩かずにレベル上げができるかも!?」とぬか喜びしてしまったが,それができないにしても,並行プレイ派にとっては嬉しいシステムだ。
信長の野望 出陣にも,似たような「委任」というシステムがある。通常は,プレイヤーの付近にいる農民や商人をタップして彼らの忠誠度を上げたり,配下武将を派遣することで報酬を獲得したりするのだが,そういったことを自動化できる。
これらはいかにもバックグラウンドで動いてくれそうな機能だが,残念ながらそうではない。とはいえ,並行プレイでは,1つのタイトルに集中しつつ,もう一方の端末のタイトルを自動モードにしておく,というスタイルが有力な選択肢になりそうだ。
なお,ポケモンGOで一部の操作を自動化するためには,同作と連携するデバイス「Pokémon GO Plus +」(6578円)が必要になる。
4月某日(4)
アプリを起動しなくても並行プレイができていた!?
ふとポケモンGOを開くと,見たことのない画面が表示されている。どうやら何日か前,ゲーム内で指示されるまま「ふかそうち」にセットしたタマゴからポケモンが孵ろうとしている模様。
そういえば,さっきオトモアイルーからの「オトモカバンがいっぱいニャ」という通知を見かけた気がする。特に自分から指示を出した覚えはないのに,タマゴといいオトモアイルーといい,なぜゲーム内に動きがあるのだろう?
不思議に思って確認してみると,ポケモンGOとモンハンNowには,スマホのGPSや歩数計とのリンクによって,バックグラウンドでも動作するシステムがあることが分かった。
同様に,DQウォークと信長の野望 出陣にも類似システムがあり,スマホのOSとの連携を許可すると,歩行距離に応じた報酬がもらえるようだ。
最近の位置情報ゲームは何かと親切だなあと思うとともに,1台のスマホでも(ある程度は)並行プレイができるということに気付いてしまった筆者。「何台もスマホを持っていたほうが運動になるから!」と自分に言い聞かせながら,久しぶりの青空のもと,軽い散歩のつもりがうっかり1万歩近くも歩いてしまったのだった。
4月某日(5)
DQウォークとの並行プレイは少し楽?
引きこもりがちの筆者が割とここまで疲れず歩くことができているのは,4タイトルそれぞれの行き先が無茶な場所(物凄く離れているなど)に設定されることがあまりなかったからだろう。
特に,ドラゴンクエストウォークの「クエストを受けるスポットを,自分の付近にあるいくつかの候補の中から選択できる」というシステムには日々助けられている。
例えば,ポケモンGOでロケット団のリーダーとバトルしたいと思ったら,もうひとつのスマホでドラゴンクエストウォークを開き,ロケット団のアイコン付近のランドマークをクエストの目的地に設定すればいい。まったく同じ場所にはできないが,一方のミッションのついでに,もう一方のミッションがこなしやすくなるという,融通の利くシステムになっているのだ。
運動として考えるなら,本当は少しでも遠くの地点を選んで歩いたほうがいいとは思う。だが,ゲームプレイを優先するなら,効率重視でいきたいところだ。
4月某日(6)
室内でのプレイはできる? できない?
位置情報ゲームで遊ぶことが生活サイクルの一部になってきたような気がする。でも,外出できない日はあるし,外出できてもしたくない日だってある。引きこもりプレイは可能なのだろうか?
今回選んだ4タイトルは,自キャラが同じ場所にずっといても,周囲に敵やアイテムスポットなどがちょくちょく出現し,経験値稼ぎやアイテム集めができるようになっている。
DQウォークや信長の野望 出陣に至っては,自分の行動圏(サークル)外にいる敵でも,タップすれば向こうから近寄ってきてくれたり,少し遠くまで武将を派遣・遠征させたりできるという親切設計っぷりだ。
それ以外のタイトルでも,相棒のポケモンとコミュニケーションをとったり,オトモアイルーがいつの間にかペイントボールでマーキングしてくれたモンスターを狩ったりといったタスクがこれでもかと待ち構えている。はっきり言って家でのプレイもそこそこ忙しく,あっという間に時間が過ぎてしまう。
気になる歩数は?
さて,十数日にわたった並行プレイを振り返ってみたい。
実際にプレイして分かった衝撃の事実は,「歩いているのと同じくらい,立ち止まって下を見ている時間が長い」ことだ。「のんびり歩いて,その休憩がてらプレイ」ぐらいの気持ちで始めたのだが,プレイの時間が予想以上に多くなり,普通に歩くと1時間で歩ける距離に2時間くらいかかっていたような気がする。
自然に立ち止まり続けるために(不審者に見えないように),あえて信号や踏切があるコースを選び,後回しにできない系のコンテンツを中心にこなしていたせいもあるとは思うが,並行プレイは存外に時間がかかってしまうもののようだ。このせわしなさに加え,バッテリー面でも通信量の面でも注意が必要かもしれないので,そういった意味でもハードルは高くなるだろう。
ただ,プレイするゲームの数が多い分,ちょっとそこまで出掛けるときの「めんどうくさい」という思いを,「ついでにほかのタスクもいくつかこなしてしまおうか」という気持ちに転換する力も強く働いた気がする。億劫さをかき消してくれたとまでは言わないが,薄めてくれたのは確かだ。
何より歩いたあとのごはんがおいしい。なので,これからも習慣として続けていきたいところである。
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