トレンドをもらさず備えた充実のスペック
EX271Qは,27インチサイズで,解像度2560×1440ドット,垂直最大リフレッシュレート180HzのIPS液晶パネルを採用したミドルレンジクラスのディスプレイだ。ゲーマー向けディスプレイでは,1920×1080ドット(以下,フルHD)を超える解像度を備えた製品が人気を集めており,とくに27インチサイズでは,2560×1440ドットの製品ラインナップが充実している。フルHDよりも表示領域が広く,4Kよりも安価な製品がそろっているのが人気の理由だ。
パネルの中間長応答速度は1msで,ディスプレイ同期技術として,AMDの「FreeSync Premium」に対応するなど,基本的な部分もしっかりと押さえられている。さらに,ディスプレイ規格の標準化団体であるVESAが定めたHDR規格「DisplayHDR 400」に準拠しているところや,デジタルシネマ向けの色空間規格「DCI-P3」のカバー率95%という,色再現性の高さもポイントだ。
また,EX271Qは,DisplayPort 1.4×1とHDMI 2.0×2,DisplayPort Alt Mode対応のUSB Type-C×1という4系統の映像入力インタフェースを備えているのも目に止まる。PCだけでなく,PlayStation 5やXbox Series X(以下,XSX)といったゲーム機など,さまざまな映像機器との組み合わせで広く活用できるだろう。
加えて,USBポートにつないだマウスやキーボードを2台のPCで共有して使う「KVM」機能にも対応しているので,デスクトップPCとノートPCをなるべく同じ周辺機器で使いたいというときに役立つ。
こうしたEX271Qのスペックは,最新のゲーマー向けディスプレイのトレンドに即したものだと言えるだろう。
上記機種ゆずりの最新機能を備える
冒頭でも紹介したように,MOBIUZブランドの製品は,画質と音質にこだわっているのが特徴だ。2024年のMOBIUZブランドで,BenQが力を入れているのが高画質を実現する画質最適化機能である。
EX271Qには,上位モデルの「EX321UX」や「EX381U」にも採用する画像処理エンジン「PixSoul」を搭載しているのが大きな見どころだ。
PixSoulエンジンは,AIを利用して複数の画像処理機能を実現するもので,たとえば,液晶パネルの状態や表示する画像の内容を分析して,パネルの発色や明るさ,ムラを均一化するほか,コントラストの最適化を自動で行う。
ゲーム用途で注目したいのが,「色彩の最適化」とAIを利用したコントラスト最適化機能の「Shadow Phage」だ。色彩の最適化では,過去5年間で発売された人気ゲームにおける色味のデータを収集し,作成したデータベースをもとに,最適な色彩設定を映像に反映するという。
一方のShadow Phageは,画面に表示する映像コンテンツを分析して,色彩のデータベースと独自のアルゴリズムをもとにコントラストを調整するそうだ。
なお,BenQ製のディスプレイには,周囲の照明に合わせてHDR映像の画質を調整する「HDRi」という機能がある。Shadow Phageはこれとは別の機能で,表示する映像の内容とデータベースを照合して,リアルタイムでコントラストを調整する仕組みだ。そのため,より高い精度で映像に適した最適化を行えるとのこと。
また,EX271QやEX321UXは,従来のMOBIUZ製品に搭載していた画質調整プリセットの「カラーモード」を見直しているのもポイントだ。カラーモードでは,「RPG」や「FPS」「レーシングゲーム」といったゲームジャンルに合わせたプリセットが用意されていた。ただ,RPGといっても,「ELDEN RING」の中世ファンタジー世界と,「サイバーパンク2077」における近未来の街並みでは,色彩がまったく異なり,同じプリセットでプレイするのは難しい場面がある。
そこでEX271QやEX321UXのカラーモードでは,「Sci-Fi」や「ファンタジー」「リアリスティック」といった,作品のアートスタイルに合わせたプリセットに置き換えられている。こちらも過去の人気タイトルを分析したデータベースをもとに作成したそうだ。
MOBIUZブランドにおけるもう1つの特徴である音質面では,本体の3.5mmミニピンヘッドフォン端子に,ESS Technology製のD/Aコンバータ(以下,DAC)を採用したのが見どころとなっている。この端子経由でヘッドフォンを接続すると,独自のサウンド再生機能や映画向けのサウンドモードを利用できる仕組みだ。
EX271Qは,スピーカーを内蔵していない。ただ,ゲームに集中したいときには,ヘッドフォンやヘッドセットを使うというゲーマーも多いので,大きなデメリットではないだろう。
新世代の映像技術で高画質を楽しめるディスプレイ
PixSoulエンジンによる画質最適化機能も見どころだ。ゲーマー向けディスプレイでAIの活用を謳うものは少ない。PC用ディスプレイで,いち早くAIによる映像補正を試してみたいという人にも気になる製品と言えるだろう。
なお,EX271Qは,ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaで実際の製品をチェックできるという。また,2024年12月22日に東京ビックサイトで行われる,ゲーム業界就活イベント「キャリアクエスト」でも展示を予定しているので,EX271Qが気になるという人は足を運んでみるといいだろう。
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