ポーランドのクラクフで開催された「Digital Dragons 2024」に,リトアニアのFLUXO Gamesが開発をアナウンスしたばかりの新作アドベンチャーゲーム「Book Smugglers」が展示されていた。


 Book Smugglersは,19世紀のリトアニアを舞台に禁書を運ぶ“ブックスマグラー”の冒険を描いた作品だ。19世紀末のポーランド分割により,ロシア領となったリトアニアでは,19世紀後半から20世紀初頭まで文化抹消政策の一貫として,リトアニア語で書かれた書物は禁止処分となっていた。それでもリトアニア語の書物や文書を読んだり,保存したりしたいという知識人は少なからず存在し,クニグニシース(Knygnešys)と呼ばれる地下組織が各地でネットワークを築いていたという。

 Book Keeperでは,そんなクニグニシースの名もなきメンバーである主人公が,頼まれた書物を運ぶ代わりに金銭を得て,危険なミッションを遂行していく。マップは分岐点をいくつか持つ縦型になっており,「Slay the Spire」のような印象を受けた。筆者がプレイしたのは田舎の小さな教会が運営する学校のために本を運ぶというものだった。


 具体的なゲームプレイは,ミッションを請け負ったあと,ショップの陳列棚が表示されて,持ち合わせの資金を使ってアイテムを購入するところから始まる。ソーセージやマッシュルーム,ウォッカといった食料から,ロープや雨合羽,ピストル,ハンマーなどサバイバルに必要なものがショップに並べられている。どれをどれだけ購入するのかは,プレイヤーの資金と,ミッションブリーフィングの内容を慎重に考察する必要がある。


 生成されるマップの分岐点は,旗印や樹木のマークが描かれたコインが表示されており,そこで発生するイベントのおおよその内容が分かるようになっている。突然の嵐となったが,強行してヘルス値を1つ失うか,一晩を物陰で過ごしで食料を1つ失うかというような,プレイヤーの選択によるイベントが多い。
 筆者がプレイしたときは,物乞いに食べ物を渡したり,酔っ払いのロシア憲兵に見逃してもらうためにウォッカを差し出したり,あるいは盗賊に襲われて戦う羽目になったりしたこともあった。


 Book Keeperを紹介してくれたFLUXO Games CEOのRytis Jadzevičius氏によると,ゲームプレイ時間は4〜5時間程度を見込んでいるという。2025年初頭のリリースを目標に開発を進めているとのこと。現時点では日本語をサポートする予定はなさそうなので,ナラティブ主導型の本作をプレイするにはハードルは少し高いかもしれない。気になる人はSteamストアページでウィッシュリストに追加しておくといいだろう。


FLUXO GamesのリーダーであるRytis Jadzevičius氏は,リトアニアのゲーム業界では重鎮でもある。独学で学んだという日本語も堪能で,7月には関西を中心とした旅行を計画しているそうだ



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