経団連本部などが入る経団連会館=東京都千代田区

経団連が、国内産業の再飛躍に向けて2040(令和22)年までの長期戦略を確立するよう政府に求める提言をまとめたことが13日、分かった。政府は主要政策課題について短中期的な計画は策定しているが、産業全体を網羅した統合的な戦略が不足していると指摘。AI(人工知能)や半導体などの〝勝ち筋〟と、それを支える安価な電力の安定供給を柱に国内投資を積極的に拡大する。

少子高齢化などの解決図る

提言は経団連産業競争力強化委員会(委員長=橋本英二日本製鉄会長、澤田純NTT会長、岡藤正広伊藤忠商事会長)で検討した。近く公表し、政府が6月にも取りまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」などに盛り込むよう求める考え。

2030(令和12)年度を見据えて今年度に改定するエネルギー基本計画や、国土形成計画など、政府は各分野で政策方針を策定している。

ただ、少子高齢化などさまざまな分野にまたがる複雑な課題に対し、特定の業界や所管官庁ごとの対応では「真の課題解決を図ることは困難」だとして、30年度よりさらに中長期的な産業政策の全体最適を図る「産業戦略2040(仮)」を産官学で策定し、課題解決に向けた方向性や行程表を示すよう提案した。

原発の最大限活用は不可欠

特に、人口減少を背景にした人手不足は、日本が抱える「最も深刻な課題」だと強調。サービス業など労働集約型産業を中心に各分野で省人化と省力化を進めるべく、AIやロボットなどデジタル技術の競争力確保に向けた基盤強化が欠かせないとして、今後3年程度の「集中投資期間」を設定し大胆な予算や税制改正、規制改革を求めた。

また、生成AIなどデジタル技術の普及には安価で大量の電力を必要とするため、原子力発電の積極推進と最大限の活用が必要不可欠だと指摘。

原発の建て替え(リプレース)や新増設の推進、安全性と効率性を高めた次世代革新炉の開発に向けた支援強化を要請し、電力事業者が投資しやすいよう「国の関与のあり方」を再検討するよう促した。

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