2024年は、中国の文豪・魯迅の恩師として知られる、あわら市出身の医者・藤野厳九郎の生誕150年です。その節目に合わせた企画展が今、大阪で開かれています。
企画展では、藤野厳九郎とその父・升八郎、甥の恒三郎の三人の生涯が112点の資料や写真で紹介されています。厳九郎は約120年前に、留学生として来日していた魯迅を熱心に指導し、魯迅が帰国後に厳九郎を思って書いた小説「藤野先生」は中国の教科書にも掲載されました。
今回の企画展では、日本で魯迅選集を出版するにあたり魯迅が担当者に「『藤野先生』だけは訳して入れたい」と伝えた自筆の手紙など、二人の関係が分かる資料が展示されています。
厳九郎の父・升八郎は幕末に緒方洪庵が医学や蘭学を教えた「適塾」で学び、福井の地域医療の発展に貢献しました。同じ適塾に通った幕末の福井藩士・橋本左内の先輩にもあたり、二人が交わした書状も紹介されています。
また厳九郎の甥・恒三郎は1950年に大阪で発生した大規模な食中毒が、当時、未知の細菌「腸炎ビブリオ」が原因と突き止めるなど細菌学の権威として活躍しました。
企画展を担当した西川哲矢助教は「それぞれ三人とも功績はちがうが福井の偉人として改めて見直してほしい」と話していました。
この企画展は、大阪府豊中市にある大阪大学総合学術博物館で6月22日まで開かれています。
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