日本生命保険は16日、米国で生命保険事業を展開するコアブリッジ・ファイナンシャルに出資すると発表した。出資額は約38億ドル(約6000億円)。発行済み株式の20%を取得し、持ち分法適用会社とする。国内市場の先細りが避けられないなか、成長が続く米国の保険市場で事業展開を本格化する。日本生命にとって過去最大のM&A(合併・買収)となる。

コアブリッジは米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)から分離し、2022年9月に米ニューヨーク証券取引所に上場した。主に個人保険と団体年金を手掛け、23年度の税引き前利益は日本円換算で約1300億円だった。主力の個人年金では米国で3位のシェアを確保している。

1株あたりの買い取り額は31.47ドルで、15日終値に4.3%のプレミアム(上乗せ幅)を付けた。手元資金で対応し、関係当局の認可を得て25年2月末までの完了をめざす。出資が完了すれば、基礎利益を年900億円程度押し上げる。契約には出資比率を引き上げる権利が含まれ、日本生命は今後の追加出資も検討する。

日本生命のグループ全体の基礎利益に占める海外ビジネスの割合は4%程度にとどまる。15年に米プロテクティブを買収した第一生命ホールディングスでは海外の割合が30%を超える。明治安田生命保険や住友生命保険も16年に米国の保険会社を買収しており、米事業の出遅れが目立っていた。

人口減少で国内の保険市場は先細りが懸念されている。収益力を高めるには、保険市場の成長が続く米国での本格的な事業展開が欠かせないと判断した。23年10月には既存の保険契約を買い取るビジネスを展開するレゾリューションライフに追加出資している。

日本生命は3月末に24年度から3カ年の中期経営計画を公表した。22年度決算で4800億円弱だったグループ基礎利益を35年までに1兆4000億円程度へ引き上げる目標を掲げ、3年間で2兆円以上の戦略投資枠を設けた。35年度に基礎利益に占める海外の割合を25%程度まで高めたい考えだ。

【関連記事】

  • ・持ち分法適用会社とは 経営戦略上の重要パートナー
  • ・生保もネット販売しやすく 日本生命、システム外販へ

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。