日銀の植田和男総裁は9日の参院財政金融委員会で、3月に実施した利上げの影響について「この先、地域経済や中小企業にどういう影響が出てくるか引き続き丁寧に点検していきたい」と述べた。足元の貸出金利の上昇は「中小企業向けを含め、ごくわずか」との見解を示した。
日銀は3月にマイナス金利を含む大規模緩和を解除し、17年ぶりの利上げを実施した。植田総裁は金融政策が中小企業に与える影響について「ヒアリングを実施し、その結果をみたり議論したりすることも常日頃からしている」と話した。そのうえで「引き続き中小企業、あるいは小規模事業者を含めた金融活動の実態把握に努めていきたい」と語った。
今後の利上げについては、基調的な物価上昇率が見通し通りに少しずつ上がっていけば「それに応じて緩和の度合いを調整するというなかで金利を上げることもできる」と説明した。
外国為替市場では日米の金利差を背景に、4月29日に1ドル=160円台まで円安が進んだ。その後は円高に振れていたが、9日には155円台で推移している。植田総裁は「為替は経済・物価に影響を及ぼす重要な要因のひとつ」と改めて強調し、為替変動が基調的な物価上昇率に「影響する、あるいはリスクが高まる場合には、金融政策上の対応が必要になる」と指摘した。
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