自動車国内2位のホンダと、3位の日産自動車の2社が、経営統合に向けて協議に入ることが分かりました。突然の動きの背景に何があったのでしょうか。

■経営統合すると世界3番目の規模へ

熊崎風斗キャスター:
ホンダと日産の経営統合は、果たして実現するのでしょうか。

国内のシェアは、1位がトヨタ、2位がホンダ、3位が日産ということになります。持ち株会社を設立して経営統合するために協議を進める方針だということです。

【ホンダ】
・1948年設立
・従業員数(グループ全体):19万4993人
・関係会社:360社

【日産】
・1933年設立
・従業員数(グループ全体):13万3580人
・関係会社:272社

2024年8月、ホンダ・日産・三菱自動車は、EV=電気自動車分野などで提携し、3社連合が誕生しました。

その提携内容ですが、車に搭載するソフトウェアの共同基礎研究、EVのモーターなど部品・バッテリーの共通化に合意したということです。

「ホンダ」と「日産」が合わさることで、世界の自動車業界はどうなっていくのでしょうか。

【自動車グループ販売台数(2023年)】
1位 トヨタ 1123万台
2位 フォルクスワーゲン 923万台
3位 ヒョンデ 730万台
4位 ステランティス 639万台
5位 GM 618万台
6位 フォード 441万台
7位 ホンダ 398万台
8位 日産 337万台
→ホンダと日産で計735万台に、三菱自動車も統合で800万台超えも

2023年の自動車グループ販売台数では、1位がトヨタで、日本では世界7位のホンダ、8位の日産と続いています。この2つが合わさることによって、年間計735万台となり、世界で3番目の規模になります。

さらに、日産が筆頭株主の三菱自動車も統合ということになり、800万台を超える規模になっていくそうです。

ホンダ・日産がともに子会社化し、持ち株会社ができます。そして、自社株式を集中させ、意思決定機関を統一させていくということです。

今後、その意思決定権はどうなるのか、「ホンダ」や「日産」というブランド自体は残り続けていくのか、注目されています。

■日産と組むホンダのメリットは

ホラン千秋キャスター:
意思決定権やブランドについては、これからなのか、それとも何となく見通しは立っているのでしょうか。

TBS報道局 経済部 梅田翔太郎記者:
意思決定権は、これから決まっていくと思います。

持ち株会社のところで、会社の方向性や戦略を決めていくことになりますが、ホンダと日産がどれくらいの割合で株式を持つかで決まってきます。

井上貴博キャスター:
今回は外資による買収を避けるために、日本勢同士の資本提携を急いだという側面があると思いますが、結果的にホンダが日産を救った形とも言えると思います。

ただ、そんな日産と組むホンダのメリットは何でしょうか。

TBS報道局 経済部 梅田記者:
自動車は開発にすごくお金がかかります。今までガソリン車が主体でしたが、これからはEV=電気自動車や自動運転も普及してきます。

その開発投資はお金がかかるので、日産とホンダが一緒にやることによって、かかるコストを抑制するメリットがあります。

萩谷麻衣子 弁護士:
今回の統合の発表があった時に、ホンダの株は下がり、日産の株はストップ高になっていました。

ホンダが日産を救済する形ということですが、ホンダとしては日産を統合することに不安はあるというような見方がされているのではないかと思います。

しかし、ホンダにしても、規模が大きくなれば世界でシェアを狙っていける。また、日産が大株主である三菱を含めれば、商品の補完をすることはできると思うので、双方にメリットがあるのかなと見ています。

TBS報道局 経済部 梅田記者:
お客さんにとってもメリットがあると思います。開発費が下げられれば車の販売価格は下がってきますし、両社の持っている技術を組み合わせていけば、よりよい車ができると思います。

■「現場主義」のホンダ・「効率重視」の日産 相性は

熊崎キャスター:
両社の相性はどうなのでしょうか。

関係者は、「このスピード感には驚きを隠せない」「企業文化が違い、合わない」などの声もあります。

ホンダは「現場主義」で、初代の本田宗一郎社長はエンジニアです。日産は「効率重視」で、ルノーとの提携、“外資系企業”の社風です。

この両社が果たして合うのか、心配している人も多くいるという現状です。

井上キャスター:
自動車業界は激変を迎えていて、EV=電気自動車が出てきていて、日本が出遅れたと言われています。日本国内で戦っている場合ではない側面もあると思います。

TBS報道局 経済部 梅田記者:
日産やホンダの人を取材していて、お互いのことを「ちょっと合わない部分あるんだよな」と言っている人はいます。

ただ、危機感はみんなあって、中国やアメリカの新興メーカーも急成長しています。「ここは合わない」と思う部分を抑え込んで、ともに頑張って戦う方法はないのか、一生懸命模索している状況だと思います。

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<プロフィール>
梅田翔太郎 記者
TBS報道局 経済部
2018年から自動車業界を長年取材

萩谷麻衣子 さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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