日本生命保険は12日、米資産運用会社のTCWに総額5億5000万ドル(約800億円)を追加投資すると発表した。ファンドによる企業向け融資「プライベートクレジット」の強化を通じ、収益源の多様化を後押しする。すでに約82億ドルで米系保険会社レゾリューションライフの買収も公表しており、海外ビジネスの強化に向けた投資を急ぐ。
TCWが発行する新株予約権付社債(転換社債=CB)と優先出資証券を、今月19日付で日本生命の米国子会社が引き受ける。引受額はそれぞれ2億5000万ドルと3億ドル。TCWへの出資比率は27%で当面変わらないが、CBが転換される条件によっては3年後に出資比率が約10%上がる見込みだ。
TCWは1971年創業の運用会社で、23年度末時点の預かり資産は2096億ドルにのぼる。米国内で42位、世界では105位の規模だ。日本生命は17年12月に米投資ファンドのカーライルからTCWの発行済み株式を買い取り、持ち分法適用会社にしていた。
TCWの運用資産は米国債券が大半を占める。米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げに伴う金利上昇(債券価格は下落)で時価評価したTCWの預かり資産残高が減り、TCWの株式を保有する日本生命の米子会社は22年度決算で161億円の減損損失を計上していた。
TCWにとっては米債への依存を下げることが課題で、今回の資本増強によってプライベートクレジットの運用を拡大する。北米ではプライベートクレジットの市場規模が29年末までに約2倍に拡大するとみられており、新たに得る資金で投資拡大に向けた体制を整える。日本生命はTCWに対し、最大32億5000万ドルの運用委託も検討する。
日本生命は今年に入り、海外事業への投資を加速している。すでに発表した米コアブリッジ・ファイナンシャルや米系レゾリューションへの投資で保険ビジネスの強化にめどを付けており、海外のアセットマネジメント(資産運用)の強化を本格的に検討する。
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