サガリサーチα。
今回は日本で特に排出量が多いというプラスチックごみの問題について。県内の多くの市町では分別せずそのまま燃やしていますがリサイクルへの関心の高まりを受け自治体の新たな取り組みが始まっています。
全国で1年間に約820万トン出るプラスチックごみ。その処理方法は自治体によって様々です。
佐賀市内の公民館。入口付近に青いボックスが設置されています。
中を見てみると…総菜のパックや菓子の袋などでいっぱいです。
【市民】
「燃えるごみを捨てに行く頻度が減った、それだけプラスチック多かったんだなと思って」
回収しているのはプラスチックごみ。佐賀市はプラごみを無料で回収し、リサイクルするモデル実証を行っています。
きっかけはおととしプラごみのリサイクルを推進する新たな法律が施行されたこと。
これまでは食品トレーやボトルのラベルなどの「容器包装プラスチック」がリサイクルの対象でしたが、タッパーやバケツ、おもちゃなどプラスチックだけでできている「製品プラスチック」のリサイクルも自治体の努力義務となったのです。
【環境問題に詳しい総合地球環境学研究所 浅利美鈴さん】
「日本の場合はかなりプラスチック、特に容器包装の使用量が世界的に見ても多いことがあって、廃棄されるプラスチックのごみも多くて。かさばるごみということで元々問題視していたが、ここまで社会的に指摘されるようになったのはここ10年くらい」
【佐賀市循環型社会推進課 羽立博文副課長】
「例えば食品トレーであったり、カップみたいなもの、きれいなビニールなどこういったものが対象物」
佐賀市は去年から2つの支所などにボックスを置いていましたが、今年8月からは市内5つの公民館に移設。
こちらの公民館では想定以上の持ち込みがあったため大きな回収ボックスに変え数を増やして対応していますが、週2回の市の回収を待たずしてボックスが満杯になることもあるといいます。
【神野公民館 樋口博館長】
「20人くらいが1日に来ているのではないか。皆さんの意識が高いので驚いている」
【佐賀市循環型社会推進課 羽立博文副課長】
「取り組みを通して市民にもリサイクル意識と言うか、浸透していけばと思っている」
回収できるのは一辺の長さが50センチ未満かつ“プラスチックのみ”でできているもの。汚れがついていると処理ができないため、水洗いで落ちるものが対象です。
ハンガーや農業用資材などにリサイクルされます。
【市民】
「リサイクルして別のものに生まれ変わっていくんだったらいいかなと」
市全体の回収量は8月は270キロ、9月は290キロ、そして10月は370キロとどんどん増えています。
市は2028年度をめどに市内全域での回収を目指すということです。
その一方で、民間の工場に持ち込んで行うプラスチックのリサイクルは集めれば集めるほど市の費用負担も増えるのが現状です。
【佐賀市循環型社会推進課 羽立博文副課長】
「市としてはできるだけ効率よくコストはかかるが、費用対効果を高めながらやっていく方法がどういった方法があるのかを模索しているところ」
コストの削減につなげようと取り組む自治体もあります。
【江北町町民生活課 西村尚記係長】
「製品プラスチックについては可燃物として焼却していたが今後は容器包装プラスチックとあわせて製品プラスチックも回収を行うように考えている」
江北町で10月開かれた認定証授与式。
町のプラごみのリサイクル計画を国が認めるものです。
江北町はすべてのプラごみについて、リサイクル後の商品まで決めて民間企業と契約する方針で認められたのは全国で14例目、九州では初めてです。
作業の合理化や長期契約によるコスト削減のほか国の補助も期待され、年間28トンの処理を見込んでいます。
【江北町町民生活課 西村尚記係長】
「近隣の市町の人達にそういった取り組みを我々が発信していくことで良い影響を与えていくことができるのではないか」
県内の自治体で広がりつつあるプラごみ問題へのアプローチ。
一方で欠かせないのが市民の協力です。
専門家は、そもそも使う量を減らすことや使ったら洗うことなど習慣づけが重要と話します。
【環境問題に詳しい総合地球環境学研究所 浅利美鈴さん】
「できるだけ分別して回収してもらいリサイクルにつなげるその一連の流れを作ることが大事」
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