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<知っているようで実は知らないことだらけ? アメリカという国の政治・社会・歴史を理解するうえで役に立つ本12冊を紹介>
2024年11月5日、4年に1度のアメリカ大統領選挙が行われます。一時は共和党のトランプ前大統領が優勢と見られていましたが、バイデン大統領に代わり民主党代表となったカマラ・ハリス副大統領も猛追をかけています。両者拮抗の様相で、最後まで勝敗の行方はわかりません。
超大国アメリカを率いるリーダーは、世界に大きな影響を及ぼします。誰が大統領になるかで日本経済、ひいては私たちの暮らしも変わってくることでしょう。今回の記事では、アメリカ大統領選挙にまつわる本、アメリカという国を理解するうえで役に立つ本をご紹介します。
(※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です)
アメリカ大統領にまつわる本
『大統領のリーダーシップ』
著者:ジョセフ・S・ナイ
翻訳:藤井清美
出版社:東洋経済新報社
要約を読む
アメリカ大統領=世界のリーダー。中国など新興国の勃興によるパワーバランスの変化が長く指摘されながらも、いまもその構図に異論を唱える人はいないでしょう。
本書ではクリントン政権で政策ブレーンを務めた著者が、過去8人の大統領を引き合いに「アメリカを超大国に引き上げたリーダーシップ」を解明し、どのようなリーダーシップが必要かを分析します。
いまの時代に必要な「世界のリーダー」像を考える際にも、役立てられる一冊です。
『ヒルビリー・エレジー』
著者:J.D.ヴァンス
翻訳:関根光宏、山田文
出版社:光文社
要約を読む
トランプ氏に次ぐ共和党ナンバー2として注目を集めるJ.D.ヴァンス氏。本書は2016年に出版された、ヴァンス氏が自らの半生を綴った作品です。
ヴァンス氏は「ラスト・ベルト(さびついた工業地帯)」の中心地、オハイオ州ミドルタウンで幼少期を過ごしました。経済発展から取り残され、薬物の売人がはびこる廃れた町。そこから這い上がり、名門大学のロースクールに入学して「エリート」の仲間入りを果たしたヴァンス氏。自身の体験からアメリカの貧困や格差の現実、そして、それをどう乗り越えるかにも触れています。
トランプ氏がなぜ白人労働者から支持を得ているのか。その理由が本書を読めば少しわかるかもしれません。
『WHAT HAPPENED』
著者:ヒラリー・ロダム・クリントン
翻訳:髙山祥子
出版社:光文社
要約を読む
大統領選挙は何が起こるか最後までわかりません。2016年の大統領選挙、当初は民主党のヒラリー・クリントン氏が勝つと予測されていましたが、 “悪評の高いビジネスマン” のトランプ氏がまさかの勝利。あのとき、何が起こった(WHAT HAPPENED)のでしょうか?
本書では、ヒラリー氏がどう政治と向き合い、この国を変えようとしてきたかが臨場感あふれる筆致で描かれています。また、政界において女性はいまだマイノリティで、多くの障壁があるという語りにも注目です。
今回の大統領選では初の女性大統領も期待されますが、その結果はいかに──。
『約束の地』
著者:バラク・オバマ
翻訳:山田 文、三宅 康雄、長尾 莉紗、高取 芳彦、藤田 美菜子、柴田 さとみ、山田 美明、関根 光宏、芝 瑞紀、島崎 由里子
出版社:集英社
要約を読む
アフリカ系アメリカ人として、建国以来初の大統領に選出されたバラク・オバマ氏。本書は、オバマ氏自身による大統領回顧録。要約では、幼少期から政治家を目指した青年時代、そして大統領選挙に出馬して第44代合衆国大統領に選出されたその時までを紹介します。
オバマ氏の夫人であるミシェル・オバマ氏の自伝『心に、光を。』も合わせて読んでみてはいかがでしょうか。
『心に、光を。』
著者:ミシェル・オバマ
翻訳:山田文
出版社:KADOKAWA
要約を読む
「現代アメリカ」を理解する
『なぜ中間層は没落したのか』
著者:ピーター・テミン
翻訳:栗林寛幸
解説:猪木武徳
出版社:慶應義塾大学出版会
要約を読む
格差が広がって「中間層」が消えつつある──。経済が減速する日本ではそのような声が大きくなってきていますが、その比でないのがアメリカです。
本書によると、アメリカでは1970年から2014年の44年間で、中間層が30%も減少したそうです。なぜそうなってしまったのでしょうか?
本書ではアメリカにおけるさまざまな「分断」を取り上げ、その現状と理由を歴史的背景などから読み解きます。
ここに書かれていることは、対岸の火事とは思えないはず。日本の未来を占ううえでも読んでおきたい一冊です。
『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』
著者:渡瀬裕哉
出版社:すばる舎
要約を読む
選挙前になると、ニュースなどで「共和党=赤」「民主党=青」と州別に色づけされたアメリカ地図を目にしませんか?
こうして「わかりやすく」色分けすることで市民の分断を促し、本来持っている多様なアイデンティティを剥ぎ取っているのだと、本書は主張します。
成熟した民主主義国家における「アイデンティティの分断」をテーマにした一冊。安易に「ラベリング」することの危険性を指摘し、分断された世界が向かう先についても警鐘を鳴らしています。
『グローバル資本主義VSアメリカ人』
著者:篠原匡
出版社:日経BP
要約を読む
大統領選挙のたびに争点となるのが「移民政策」。特にメキシコ国境から流れ込む膨大な数の不法移民は社会問題にもなっており、トランプ政権時代には「国境の壁」が建設されました。(後にバイデン政権が中止)
本書は、日経ビジネス副編集長が「国境の町」に自ら出向き、「アメリカのリアルな姿」に迫った渾身のルポ。そこに暮らす人たちの声を拾い、彼らの暮らしぶりを丹念にまとめ上げています。
大富豪や成功した起業家ばかりが注目されがちですが、それはほんの一面に過ぎません。アメリカという国を知るためには、もう一つの面も知る必要があると思わされる一冊です。
『超一極集中社会アメリカの暴走』
著者:小林由美
出版社:新潮社
要約を読む
「0.1%の超富裕層が世のすべての富を奪っていく社会」。背筋が凍るような言説ですが、それが現在のアメリカだと本書は説きます。
大手IT企業が次々とイノベーションを起こし、巨万の富を蓄えていく一方で、工場閉鎖により失業に追い込まれる人は少なくありません。また昨今は、高額の学費を払うため多額の借金をして大学に入学したものの、その返済が追いつかない若者たちの「学生ローン問題」もクローズアップされています。
本書は2017年の出版ですが、一極集中はさらに広がっているようにも見えます。大統領候補者たちはこの問題をどう解決するつもりなのか。彼らの演説に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
『大分断』
著者:タイラー・コーエン
翻訳:池村千秋
解説:渡辺靖
出版社:NTT出版
要約を読む
「がんばれば誰もが成功と富を手にできる」と信じられていた「アメリカンドリーム」も、いまや空前の灯。ちょっとやそっと努力しても、成功することは難しい──。ならば、「現状に満足して生きよう」という「現状満足階級」の出現を解説したのが、本書『大分断』です。
日本でも若い世代を中心に「ガツガツしないで、今の生活を維持できればいい」という傾向は見られますが、本書では「現状満足階級の平和と平穏は長く続かない」と、厳しい見解を示します。
「活力が失われた社会」はどこへ行きつくのか。著者の予測にひやっとするのは、筆者だけではないはずです。
「アメリカ」という国の成り立ち
『アメリカ経済政策入門』
著者:スティーヴン・S・コーエン、J・ブラッドフォード・デロング
翻訳:上原裕美子
出版社:みすず書房
要約を読む
アメリカのリーダーたちは、これまでどのような経済政策を行い、「大国」へ押し上げてきたのか?
本書では、過去の大統領や政治リーダーたちが行ってきた経済政策を分析し、それぞれがどんな効果をもたらしたかを検証します。
南北戦争を率いたリンカーンや、「ニューディール政策」のフランクリン・ルーズベルト、軍事力強化により国を繁栄に導いたアイゼンハワーなど、歴史の授業で耳にする偉人たちも続々と登場。
アメリカの経済政策を縦軸に追っていくことで、見えてくるものがあるかもしれません。
『コモン・センス(COMMON SENSE)』
著者:トマス・ペイン
要約を読む
※こちらの書籍は書店にてお買い求めください。
アメリカという国の成り立ちを知るうえで、ぜひ読んでおきたいのが『コモン・センス(COMMON SENSE)』。18世紀後半、独立か、英国の植民地にとどまるかに揺れていたアメリカ市民たちの心に火をつけ、独立への機運を高めた小冊子です。
アメリカの歴史の「1ページ目」を知って、より理解を深めてみてはいかがでしょうか。
◇ ◇ ◇flier編集部
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