金の価格高騰が続く中で、いま「ダイヤモンド」の価格が下がっていることをご存じでしょうか?

一体、なぜなのか。

取材をすると、背景には、大阪の企業の凄すぎる技術が。

「憧れの宝石」のイマを調べました。

■金の高騰の裏で…憧れの宝石“ダイヤモンド”の買い取り価格が急降下

止まらない、金の高騰。

貴金属などを買い取る店を訪ねると…。
【ゴールドプラザ 黒木大地マネージャー】「1年前と比べるとだいたい1.5倍ぐらい。販売価格も買い取り価格も同じ」

「有事の金」とも呼ばれる金相場は、10月31日、過去最高値となる、1グラムあたり1万5162円を記録。

そのほか、サファイヤやエメラルドなど、宝石類の価格も、上昇傾向だということです。

しかし、その陰であの「憧れの宝石」に異変が。

【ゴールドプラザ 黒木大地マネージャー】「ダイヤモンドの買い取は、持ち込みいただくことはたくさんあるんですけど、値段について折り合わなかったりとかが多く、買い取り自体がなかなか難しい状況」

なんと、ダイヤモンドの買い取り価格が、ここ数カ月で急降下。

2年前と比べると、半値になっているというのです。

金は高騰しているのに・・一体なぜ?

【ゴールドプラザ 黒木大地マネージャー】「人工ダイヤモンドが世に出だしてから、ここ数年で、ずっと下がり続けている状態」

「ダイヤモンド」を人工で作っている?

■「人工ダイヤモンドの素」をつくる国内唯一の企業を取材

専門業者はこの「人工ダイヤ」の進化が、価格下落の要因の1つになっていると話します。

【ピュアダイヤモンド 伊藤拓也代表取締役】「(人工ダイヤの)生産の拡大、生産技術の確立というところは、この10年は非常にスピードが早かった、特にこの5年くらいは早かったと思います。需要と供給のバランスの問題で、価格は比較的下がりやすくなっていく」

「憧れの宝石」の価格に、影響を与える「人工ダイヤ」とは?

調査を進めると、実は、その重要な鍵を握る会社が大阪にあることが判明。

取材をお願いしてみると、「工場に来てよい」との返事がもらえました。

【株式会社イーディーピー 藤森直治社長】「イーディーピーの藤森でございます」

なんとこちらの会社、「人工ダイヤモンドの素」をつくる国内唯一の企業だということです。

【株式会社イーディーピー 藤森直治社長】「じゃあどうぞ」

今回は、普段は入ることのできない工場に、特別に潜入させてもらえることに。

中にあったのは、数十台もの、高そうな機械です。

【株式会社イーディーピー 藤森直治社長】「ここは湿度のコントロールをしています。厳しいコントロールをしているので、普段は閉じています」

まず最初に使うのが、原料となる「結晶」に、イオンを注入するというこちらの装置。その価格、中古でも数億円です。

そのあと、「結晶」を成長させます。

【株式会社イーディーピー 藤森直治社長】「どうぞ中、見てください。赤いのが見えますでしょ」

装置の中は、こんな感じ。

高温のマイクロ波をあてて大きくするということで、中は、1000度以上になっています。

さらに、レーザーを使い、適切なサイズにカット。

こうして最先端の技術を詰め込み、出来上がったのが…。

【株式会社イーディーピー 藤森直治社長】「この14ミリくらいので、9カラットができます」

ただのシートのようにも見えますが、こちらが「人工ダイヤモンドの素」、「種結晶」と言われるものです。

「種結晶」を海外の工場でさらに成長させると、私たちがよく見る、「ダイヤモンド」になるのです。

わずかな産地にしかない「天然ダイヤ」は当然、生産量も限られますが…。

【株式会社イーディーピー 藤森直治社長】「年間20万カラットぐらい作ることが可能です。早ければ2035年には半分以上が人工(ダイヤ)という時代を迎えると思います」

人工ダイヤの「超大量生産」もあり、天然ダイヤの価格は、この10年で3割減となりました。
(アナリスト ポール・ジムニスキー氏によると)

でも、人工ダイヤのスゴいところは、大量生産できることだけではありません。

■天然を上回る“輝き”の人工ダイヤ SNS栄えで需要高まる

「ダイヤモンド」の在り方を変えてしまうかもしれない、「人工ダイヤ」。

その驚きのクオリティとは?

大阪・梅田で結婚指輪などを販売するこちらの店では、「ラボグロウン」と呼ばれる人工ダイヤモンドを取り扱っています。

【ヤスエイ 安本明姫社長執行役員】「天然ダイヤモンドとラボグロウン(人工)ダイヤモンドでございます」

【竹上萌奈キャスター】「いや~とっても綺麗」

【ヤスエイ 安本明姫社長執行役員】「どちらが『天然ダイヤモンド』か当ててみてください」

【竹上萌奈キャスター】「こんなこともあろうかとルーペを…」

気持ちだけでも“鑑定士風”にルーペでじっくりチェックしますが…。

【竹上萌奈キャスター】「輝きで目がやられるぐらい見たけど、全然分からなくて…ズバリ正解は?」

【ヤスエイ 安本明姫社長執行役員】「こちら(B)でございます」

【竹上萌奈キャスター】「やっぱり!って感想も出て来ないんですけど…」

実は天然ダイヤには窒素などの“不純物”が含まれているのに対し、人工ダイヤはそれらを取り除くことが可能。「輝き」という面では、天然を上回るともいえるのです。

気になる“お値段”は…。

【ヤスエイ 安本明姫社長執行役員】「天然ダイヤモンドですと、クオリティにもよりますが、100万円以上から…」

【竹上萌奈キャスター】「100万円…」

【ヤスエイ 安本明姫社長執行役員】「人工でございますと、だいたい15万円くらいから」

【竹上萌奈キャスター】「えーーーー」

【ヤスエイ 安本明姫社長執行役員】「SNSとかで見栄えがとてもするものなので、20代30代の方にも今、需要が高まってきているダイヤモンド」

【竹上萌奈キャスター】「時代ですね…」

専門業者は、「ダイヤがより身近なジュエリーに変わるのでは」と話します。

【ピュアダイヤモンド 伊藤拓也代表取締役】「『ラボグロウン(人工)ダイヤモンド』になると、1カラットが結構、現実的に手の届く価格帯に入ってくる。

今まで自分のほしいものリストから、外れてた商品だと思うんですけど、それがほしいものリストに入ってくる」

憧れの、ダイヤモンド。
「一生に一度」の宝石では、なくなっていくのかもしれません。

■人工ダイヤの拡大が天然ダイヤの価格にも影響が?

実際に人工ダイヤを見た竹上キャスターは「天然ダイヤモンドの数億年間かけてやっとできた輝きにロマンを感じるという方もいる、まだ根強いファンもいるため、ダイヤの世界の奥深さを感じた」と話します。

経済学者の大阪大学大学院の安田洋祐教授は「人工ダイヤの需要は伸び、天然ダイヤの価格の変動が起きるのでは」と話します。

【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「今まで工業用の用途が多かったですが、宝飾品として人気が出てきそうです。

人気が出てきたときに、天然物に関しては高いから人気があるというというのがあったと思います。それがどう変わっていくのかなと。

へたしたら天然物も値崩れする可能性もあります」

(Q.入手しやすくなる可能性も?)
【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「あると思います」

今後、人工ダイヤが増えていった時に、どのように価格が変わっていくのかという所も注目です。

(関西テレビ「newsランナー」2024年11月5日放送)

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