11月4日、カナダ政府は、石油・ガス業界を対象に2030年までに温室効果ガスの排出量を19年比で35%低く抑える規制案の素案を発表した。写真は原油掘削施設。カナダのアルバータ州で3月撮影(2024 ロイター/Todd Korol)

カナダ政府は4日、石油・ガス業界を対象に2030年までに温室効果ガスの排出量を19年比で35%低く抑える規制案の素案を発表した。26年以降、排出量報告を義務付け、その後は排出量を順守しない生産者に罰則を科すことが柱。

カナダは石油生産で世界第4位、天然ガスで第6位の資源国。政府の見通しでは、排出量に上限に設けても30―32年にかけての石油とガスの生産量は19年比16%増加し、国内総生産(GDP)の押し下げ効果は0.1%にとどまる。ただ、石油・ガスの業界団体は設備投資マインドに響きかねず、生産量が減って雇用を奪い、税収減につながる恐れがあると反発している。


 

トルドー政権は国内全体で温室効果ガスの排出量を30年までに40―45%減らす国際公約を掲げる。そのため国内で排出量が最も多い石油・ガス産業への脱炭素化への取り組み強化が不可欠。素案を巡り、業界関係者も含めた公的な手続きに則った意見聴取を9日に開始し、来年1月8日まで実施。最終案は来年に公表する予定だ。

素案によると、キャップ・アンド・トレード方式による排出量取引制度を導入する。排出削減で優れた成果を出した石油・ガス企業を高く評価する一方、排出量が多い企業には削減を促す仕組みとする。生産者は26年以降、排出量報告が義務付けられ、30―32年は排出量順守の最初の3年間と位置付けられた。政府はこうした規制を守らない生産者に科す罰則を策定する方針だ。

ウィルキンソン・エネルギー・天然資源相によると、排出量の削減は大半がメタンガスによる大気汚染抑制と、オイルサンド採掘などで発生する二酸化炭素(CO2)回収によって実現する見通しだ。

トルドー政権はこれまで、石油・ガス業界に対して排出量を30年までに19年比で最大38%削減することを求める方針を掲げていた。ウィルキンソン氏は、生産者が技術的に達成可能な水準について協議を繰り返した結果、35%低く抑えることで決着したと説明した。



[ロイター]


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