一時1ドル=155円台を付けた円相場を示すモニター

円安ドル高の流れが止まらない。25日の東京外国為替市場で、円相場は一時、1ドル=155円74銭をつけ、約34年ぶりの円安水準を更新した。市場では、政府と日本銀行が近く為替介入に踏み切るとの観測も出ている。26日には日銀、5月1日には米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を控え、投資家は厳戒態勢を敷く。

午後5時現在は前日比73銭円安ドル高の1ドル=155円62~64銭。

続くドル買いの流れ

円安傾向が続くのは、日米の金融政策の方向性に違いがあるためだ。日銀は3月、17年ぶりの利上げに踏み切ったが、緩和的な金融環境は当面維持する方向だ。一方、経済が堅調な米国では、FRBが利下げを先送りするとの観測が強まっている。日米の金利差はしばらく縮小しそうもなく、円を売って、投資に有利なドルを買う流れが続いている。

鈴木俊一財務相は25日の参院財政金融委員会で、円安進行に関し「適切な対応をしていく思いに、いささかも変わりはない」と改めて強調した。

ドル建て資産投資増加

円安防止に向けた為替介入を投機筋は待ち構えている。だが、もともと「防衛ライン」とみられていた1ドル=152円を大きく超えた現在も、政府・日銀は静観したままだ。

というのも、多くの日本人が米国のデジタルサービスを利用したり、ドル建て資産への投資を増やすなど、すでに円安ドル高の構造が日本経済に定着しつつあるためだ。

市場関係者は「介入による一時的な円高は円売りの好機に他ならない」と指摘する。「介入待ち」をする投機筋の円売りにより、円相場が介入前の水準に押し戻されることを政府が懸念しているとの見立てを示した。(今仲信博)

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