北国フィナンシャルホールディングス(FHD)が30日発表した2024年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比17%減の56億円だった。政策保有株の売却益が減少した。能登半島地震関連では融資先の再建計画作りの遅れで与信コストは膨らまなかった。今後宿泊業などで本格化が見込まれるため25年3月期通期は従来想定通り55億円程度発生するとの見通しを示した。
「追い風は吹いている。(減益決算は)株式持ち合いの解消を早くからやってきたためだ」。杖村修司社長は同日の決算記者会見でこう説明した。円金利の上昇や外債の売却による外貨調達コストの減少で、24年4〜9月期の資金利益は179億円と7%増えた。一方で政策保有株の売却益は21億円とほぼ半減した。
業績に影響を及ぼすとみられていたのは、能登地震に関連する与信コストだ。被害を受けた融資先が新たに資金調達できるよう、金融機関は官民でつくる復興ファンドに債権を売却するスキームが整っている。そうした処理を含むコストを同期で20億円程度見込んでいた。
和倉温泉(石川県七尾市)の旅館など融資先は現段階で被害の総額や建物の再建・復旧に関わる費用などが固まっておらず、官民ファンドのスキームを活用できていない。北国FHDの24年4〜9月期決算では処理費用は発生せず、地震関連以外の低格付け先の業況改善などで2億円の戻入利益が発生した。
杖村社長は「4〜9月期中に1〜2件は復興ファンドを使えると思っていた」と話し、今後について「和倉温泉は復興の象徴になる。スピード感を持って進めたい」と融資先の計画作りを後押しする考えを示した。
北国銀行を母体とする同社は、持ち株会社体制に移行して10月で3年が経過した。「顧客が『銀行ありき』と思うのを払拭したかった」と話し、24年4〜9月期で前年同期比を6割上回る10億円の売り上げがあったコンサルティング事業などが育ってきたとの認識を示した。
一方、26年3月期以降は「(持ち株会社傘下の)北国銀行をリブランディングする」とし、詳細を詰めていると明らかにした。融資よりコンサルや投資事業を重視しているのでは、という顧客の反応が増えてきたからという。グループ全体でバランスのとれた成長を目指す。
北国FHDが石川県小松市で建設を計画しているハンドボールやコンサート向けのアリーナについては、現段階で建設費280億円を見込み「25年度中には着工したい」との意向も示した。当初よりも計画は遅れている。
社外取締役からは「北国FHDのひとりよがりではなく行政や国、地域もやりたいと思っているのか、分からない」といった意見が出ているという。同社は280億円のうち半分程度は公的支援を得たいという希望を持つ。今後折衝を進め、社外取締役の理解を得る考えだ。
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