富士山の環境保全と観光をどう両立させていくのか。山梨県は麓から富士山5合目まで路面鉄道を走らせる登山鉄道の中間報告を公表しました。

山の中を走り抜ける次世代の路面電車「LRT」。山梨県が事業化に向け検討を進めている富士山登山鉄道です。

山梨側の富士山5合目を訪れる観光客は年間500万人を超え、大量のごみや渋滞による排ガスが問題となっています。

こうした問題を解決するため、富士山のふもとから5合目まで路面電車を走らせる構想で、山梨県は往復1万円で年間300万人の需要があると試算しています。

山梨県・長崎幸太郎 知事:
いくつかの課題はあるもののLRTは実現可能

10月28日 山梨県の長崎知事は、事業化に向けた中間報告を公表しました。

勾配のある急カーブは、時速5kmから20kmであれば曲がりきることができることなど、技術的には可能だと判断しています。

一方で輸送量については、上りと下りを別の線路にして60人乗りの車両を2両編成で年間280日1日に10時間6分間隔で運行した場合に300万人を超える336万人が利用できると記されています。

長崎 知事:
(5合目まで)現時点で年間500万人登っている、夏だけで。(年間)300万人という数字は非現実的とは思わない。実現できるのでは

富士山登山鉄道をめぐり、麓の自治体の一部は構想に反対していて、長崎知事は地元の自治体や反対する団体と意見交換していく方針です。

富士山の麓、富士宮市。山梨県の動きに様々な意見が出ています。

富士宮市民:
(車の)排気ガスで環境破壊になるようなら、電車の方がいいと思う

富士宮市民:
世界遺産でもあるので電車など開発が進むのもどうかなという疑問もある

富士宮市民:
富士山が世界文化遺産になぜなったかという背景を考えると、地球温暖化・排ガスを少なくする以上に自然を壊し趣旨にそぐわないと思う

富士山の観光と自然保護をどう両立させていくのか、検討が続けられています。

山梨県が検討している富士山登山鉄道の構想がこちらです。

麓から富士山5合目まで路面電車を走らせるもので、山梨県は往復1万円の場合は年間300万人が利用すると試算しています。

ちなみに上りと下りで線路を分けた場合、所要時間は上りで52分・下りで74分になる想定です。

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