およそ34年ぶりの円安で1ドル=155円台に。そんな中、“安い旅先”ランキングがイギリスで発表され、東京がランクインしました。円安をめぐり、何が起きているのでしょうか?
■「安い旅先」4位に東京がランクイン
小笠原亘キャスター:
イギリスの国有企業ポストオフィスが発表した、「滞在費用の安い観光地ランキング」世界40都市を比較をしています。東京が4位にランクインしました。
【滞在費用の安い観光地ランキング】英・ホリデーマネーレポート2024
1位:ベトナム・ホイアン 約9900円(1日あたり)
2位:南アフリカ・ケープタウン 約1万500円
3位:ケニア・モンサバ 約1万600円
4位:東京 約1万1400円
5位:ポルトガル・アルガルヴェ 約1万1500円
順位付けには▼2人分のディナーコース、▼コーヒー一杯、▼水1.5Lなど、「8項目の物価」が使われました。東京は宿泊費抜きですが、1日約1万1400円で済むというデータです。
実際の8項目を39位のニューヨークと比較してみます。
▼コーヒー 東京:約450円 ニューヨーク:約570円
▼ビール 東京:約540円 ニューヨーク:約1120円
▼コーラ 東京:約450円 ニューヨーク:約570円
▼グラスワイン 東京:約700円 ニューヨーク:約1780円
▼水1.5L 東京:約130円 ニューヨーク:約360円
▼日焼け止め 東京:約780円 ニューヨーク:約1860円
▼虫よけ 東京:約600円 ニューヨーク:約900円
▼ディナーコース 東京:約7740円 ニューヨーク:約2万490円
【合計】東京:約1万1400円 ニューヨーク:約2万7650円
東京と比較すると、ニューヨークでは1日で使う金額が約1万6250円変わってくるということです。
井上貴博キャスター:
外国人観光客にとって、プラスで良い情報なんでしょうが、つまるところ「円がこれだけ弱い」ということなので、いま東南アジアに行くよりも日本に行った方が安く上がる、と。
時代小説家 今村翔吾さん:
こういうとき、例えば“外国人価格”を作っている国が実際、世界の中にはあります。“外国人価格”をやると「外国人に価格を載せているので差別」という話が出てきますが、逆に日本の全ての小売2倍にして、日本人だけ半額にする法律を作ったらどうですか。日本人とか日本に在留の方とか、暮らしに根ざしてる人だけ半額にすれば、誰も文句ないような気はしますけどね。
ホラン千秋キャスター:
「居住者割引」の様な形で。
今村翔吾さん:
インフラを維持するために、ということでいただくってのはいいと思うんですけどね。
井上キャスター:
国主導でやるってことですね。
今村翔吾さん:
そうです。やれば税収も増えるし、混雑も観光客半分になっても値段倍であれば、トントンなので、維持できそうな気がしますけどね。
■外国人観光客に円安の恩恵は
小笠原キャスター:
実際にスタッフが浅草に行ってみて、どういうお金の感覚なのかを聞いてみました。まず、観光庁のデータです。2024年1月〜3月期の訪日外国人の旅行支出(1人あたり)が約20万9000円。コロナ前の2019年と比べ5万円上がっています。
実際どうなのかというと、スイス人観光客の2人組は1か月滞在で旅行予算1人170万円で来日。「日本は買い物もマクドナルドは3分の1程度の価格。アニメのフィギュアも買ったよ」と結構お金を貯めてきたそうです。
ドイツ人観光客の2人は「2人で外食するとドイツなら1万円位かかるけど、日本は半額程度」と話していました。アメリカ人観光客はというと、「6人の食事代がアメリカだと、夫婦2人分の金額だった」と話しています。
■外国人観光客の滞在日数も長期化
日本での滞在日数は観光庁のデータで見ると、平均が9. 3日間(2024年1月〜3月期)。宿泊日数もコロナ前に比べると伸びています。
滞在予定を聞いてみました。フィンランド人観光客の2人組は2週間。ドイツ人観光客の2人組は16日間、先ほどのスイス人観光客は1か月、デンマーク人観光客の2人組も1か月と「食費や宿泊費も安いから、京都や奈良など色々なところをまわれる」ということでした。
では、どういった所を観光するのか、オーストリア人観光客に聞きました。▼滞在期間:3週間、予算:67万円(1人あたり・飛行機代含む)で「東京・富士山・京都・大阪・広島を3週間かけてゆっくり回ろうと思っています」ということでした。
ホランキャスター:
休暇が取りやすい、という文化的な背景もあると思いますが、それだけ休暇を取れたとして実際にお金がかかる海外にそれだけ滞在できますか?ということになると、いまの日本だと厳しいのかな、と思います。
■パスポート所有数も減少 円安で海外への旅行意欲は…
小笠原キャスター:
「日本人の出国者数」を見てみると、2023年は約962万人と2019年より約1000万人減っています。SNSでも「円安すぎて海外旅行には行く気にもなれない」という声が見られます。
さらにパスポート、有効旅券件数は2019年の2948万冊に対し、2023年は2064万冊と約900万冊と、更新していない、海外に行かないから更新しなくてもいい、という人が結構いるというデータもありました。
井上キャスター:
これだけ円安だと旅行もそうですが、留学を諦める学生も本当に増えてますから。
今村翔吾さん:
政府主導で対策しないと、もっとひどいことになってきたら、生活してる人たちが苦しむことになるので、考える時期に来てると思いますね。
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