120年以上の歴史があるという路線バス。そんな“地域の足”が今、岐路に立たされています。全国的に相次いでいるのが路線バスの廃止や減便。京阪バスでは、10月6日から一部の営業所でバス路線の廃止や変更を実施しました。このうち京都市山科区ではバスの路線変更に住民は困惑していました。
(住民)「ダイヤが変わるので写しに来ました。(京都駅)八条口行くバスがなくなってしまってね」
(住民)「不便やね。もうちょっと(時間間隔が)ひっついてほしいです、前みたいに」
一方、公営バスも苦境に。神戸市バスの車体に表示されている数字「93」は、神戸市バスの借金残高・93億円。「2万9123」は、コロナ禍で1日あたりの乗客が減った数2万9123人を意味しています。
(神戸市交通局自動車部長 児玉健さん)「そもそも数字を示すことで市バスの経営状態をより広く知っていただきたい。市民のみなさんにお伝えする意味もありますが、私ども職員がこの数字をどう認識するか、非常に経営が厳しい状況です」
厳しい経営は関西だけではありません。神奈川県の横浜市営バスは、10月1日に265便が減便となりました。
こうした背景には赤字経営の他に、深刻な「運転手不足」があるといいます。乗務員の労働時間を制限するいわゆる2024年問題の影響もあり、この先、2030年までに3万6000人が不足するという試算もあります。
こうした中、関西では入社してから「会社の費用で大型二種免許を社員に取得させる」会社や、社員が、バスの運転手になりたい人材を紹介すれば、その社員に「紹介料」の手当が支給される会社も。
また、人手不足対策として、関東地区を走る東急バスは今年4月から、長~い新車両を導入。バス停には長蛇の列ができていましたが、次々とバスに吸い込まれていき、行列が解消されました。
さらに大阪府では、「金剛バス」が廃業した富田林地区で、万博会場の「自動運転バス」を転用し、2026年から実証実験をする予定です。ただ、こうしたバス路線の確保には、行政の協力も欠かせないと専門家は指摘します。
(立命館大学 近藤宏一教授)「この20~30年、どちらかと言えば公共で持ってきたものを民間に任せるという流れできましたから、それをある種、逆に回すように」
(福島大学教 吉田樹教授)「女性であるとか外国人であるとか、若手の人材ですよね、そういう人たちがバス産業を選ぶっていうところの選択肢を持ってないんですよね」
運転手不足に利用者の減少…。路線バスの今後はどうなっていくのでしょうか?
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