(ブルームバーグ):ウォール街の大手銀行は今後1年間の米利下げペースと幅を巡り、見解が分かれている。見通しが明確になるまで、金融市場は神経質な状態が続きそうだ。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は17-18両日に開催した定例会合で0.5ポイントの利下げを決定し、多くの市場関係者を驚かせた。政策発表から数時間後、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは予想を修正し、11月から2025年6月までの毎会合で0.25ポイントの利下げが実施されるとの見通しを示した。

今回の0.5ポイント利下げを言い当てたJPモルガン・チェースのエコノミストは、11月にさらに0.5ポイントの利下げが行われるとの見方を変えていないが、それは労働市場の状況に左右されると述べた。

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短期金融市場は年末までの利下げ幅を約70ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と織り込んでおり、来年9月までに計2ポイント近い利下げが実施されると予想している。FOMCは最新の金利予測分布図(ドットプロット)で年末までの利下げ幅を0.5ポイントと予測しており、市場の見通しの方が積極的だ。

一部大手銀行のエコノミストの見解は以下の通り:

バンク・オブ・アメリカ

FOMCは「より深い利下げを強いられ」、10-12月(第4四半期)に75bp、来年に125bpの利下げが実施されると、アディトヤ・バビ、マーク・カバナ、アレックス・コーエン3氏を含むエコノミストとストラテジストはリポートで指摘。

シティグループ

エコノミストのベロニカ・クラーク、アンドルー・ホレンホースト両氏は年内の75bp追加利下げ予想を維持。11月に50bp、12月に25bpの行動をそれぞれ見込んでいる。「より速いペースの利下げに対してもリスクは引き続き均衡している」とリポートで指摘。2025年に25bpずつのさらなる利下げが実施され、ターミナルレート(最終到達点)は3-3.25%になると予想。

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ゴールドマン・サックス

FOMCは11月から来年6月まで「より長期にわたって」25bpの連続利下げを実施し、ターミナルレートは3.25-3.5%になると、ヤン・ハッチウス氏らエコノミストはリポートで指摘。11月に再度50bpの利下げを実施するかどうかは「微妙なところ」で、決定要因は次2回の雇用統計だとしている。

モルガン・スタンレー

米金融当局は2025年半ばまで「一連の」25bp利下げを実施する可能性が高いと、エコノミストのセス・カーペンター、ストラテジストのマシュー・ホーンバック両氏を含むチームは指摘。年内2回、来年前半に4回を予想している。

ウェルズ・ファーゴ

「2024年の緩和サイクルは市場の不透明感が歴史的な水準にある中で開始」とマイケル・シューマッハ、アンジェロ・マノラトス両氏らストラテジストは指摘。ハードランディングシナリオでは、利下げサイクル最初の1年間に最大350bp、ソフトランディングのシナリオでは150bpの利下げがそれぞれ実施される可能性があると見込む。いずれにせよ、「FOMCには利下げの余地が十分にある」という。

原題:Big Banks Are Split on How Fast Fed Will Cut Interest Rates (1)(抜粋)

--取材協力:Edward Bolingbroke.

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