コメの取引価格の指標となる8月の「相対取引価格」が発表され、玄米60キロあたり1万6133円と過去最高を記録した。
新米の流通も始まり、価格は落ち着いてきたのか?コメにまつわる現状を取材した。

<スーパーでも価格上昇>
福島県福島市のスーパーでは、2023年に収穫された福島県産「天のつぶ」は5キロで税別2380円と、在庫不足で価格は上がっているという。
新米は、茨城県産のあきたこまちを販売しているが、5キロで税別2980円、10キロは価格が高すぎて入荷していないという。さらには、入荷しても2~3時間で売り切れてしまう状況が続いていた。

<直売所でも1000円近い値上げ>
福島県会津若松市のJA直売所「まんま~じゃ」では新米が販売されていた。
5キロの値段は3200円。物価高やコメ不足などを背景に、2023年と比べると1000円近い値上げとなった。店長の鶴水良さんは「物価の高騰とコメの在庫品薄が重なって、令和6年産については値上げせざるを得ない状況」と説明する。
新米の価格を知った買い物客は思わず…「高いな。前は5キロで1700~1800円くらいなのに今は3200円?」…それでも待ちに待った新米。この直売所では、一日に約50袋が売れているという。
埼玉県から訪れた買い物客は「5キロを2つ買った。都内でも無くて、せっかくこっちに来てあったから持って帰ろうかなと思って」と話した。また別の買い物客は「今年は私たち頑張って買いますから。農家の方には頑張ってくださいねという気持ちで、買いました。なるべく大切に一粒一粒食べたい」と話した。
高止まりも予想される中、この直売所ではイベントなどを通じて、会津のコメのおいしさをPRしていきたいとしている。

<コメ食べ放題の飲食店も値上げの決断>
2024年5月にオープンした福島市の飲食店「やすまる」では、ランチタイムの定食が税込み900円で、ごはんが食べ放題だという。
来店客は「スーパーマーケット何軒か回ってコメを買ったりしているので、あまり我慢せずに食べられるのはありがたい。本当にお米のオアシスみたいな感じ」と話す。
多い時にはランチだけで10キロほどのコメを消費するという。店主の安齋康雄さんによると、仕入れ価格は1.5倍になり「正直厳しい。農家にもコメがないし、世の中全体で値上げになっているので」と話す。
コメの食べ放題に価格高騰の影響が直撃し、10月からランチの100円値上げを決断した。安齋さんは「まさかコメが値上がりするとは思っていなかった。肉もそうなだが、10月になったら最低賃金引上げで人件費も上がるし、世の中全体がこれほど上がるとは、まったく予想していなかった」と頭を抱える。
お腹いっぱい食べてもらうために、食べ放題は続けるというコメ。飲食店にとっても、価格の安定が待たれる。

福島市のスーパーで話を聞くと、福島県産の新米が登場するのは9月下旬から10月上旬になるとのこと。5キロで税別3180円の価格が中心となり、例年より1000円以上高くなりそうだという。
坂本農林水産大臣は「新米が順次供給され円滑な米の流通が進めば、一定の価格水準に落ち着いてくる」としている。

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