庶民の足として長年愛されてきた原動機付き自転車、いわゆる原付バイク。実はいま、消えようとしているのです。一体なにが起きているのでしょうか。

都内のバイク店。原付バイクで目立つのは「生産終了モデル」などの文字。展示されている新車のバイクのうち原付はたった5台です。およそ20年前は、店頭に20台ほど新車が並んでいたといいます。

エスシーエス白山本店 佐藤勝店長
「なくなっちゃうと困る。足が悪いから逆に自転車もつらいし、坂道も登れないから原付を使ってる方とかも非常に多いですね」

原付バイクが少なくなっている背景には「原付2025年問題」が。来年11月から始まる新たな「排ガス規制」の強化です。

脱炭素の流れの中、いまの原付バイクのエンジンでは新しい基準を満たせず、生産できなくなります。技術開発にも多額のコストがかかり、ホンダとスズキは採算が取れないとして、生産の終了を検討しています。

こうしたなか、きょう公開されたのは、後ろに原付のナンバーがつく「原付電動バイク」です。

その乗り心地は…

記者
「車体がとても軽いので、まるで自転車のようにコントロールしやすいです」

ペダルで電動アシスト自転車のように使うこともできるので、バッテリー切れの不安もありません。

スズキ 福井大介チーフエンジニア
「航続距離をエンジン車並みに近づけようとすると、バッテリーが大きくなってしまったり、価格も重量も重くなってくる」

電動化の取り組みはほかでも…

ホンダが去年発売した原付相当の電動バイク。バッテリーは交換式で、6時間の充電で53キロ走ることができます。

さらにホンダは先月、この車種をライバルのヤマハ発動機に供給することを発表しています。

電動化で規制を乗り越えようとするメーカー。しかし、かえって若者のバイク離れに拍車がかからないかとの不安の声も。

記者
「(エンジンと電動で)価格差はどれくらい?」
エスシーエス白山本店 佐藤勝店長
「それこそ倍ぐらい違うと思いますね。我々の世代だと、高校生や大学生がお年玉やバイトで買えたものが原付だった。近くにある存在だったのが今だとかなり高級品になってきている」

原付電動バイクが“庶民の足”として手の届きやすい価格を実現できるかが普及のカギとなりそうです。

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