パートやアルバイトなどの従業員に雇用主側が支払わなければならない最低限の時給「最低賃金」が、福島県では2024年10月5日から引き上げられる。「物価高騰」などを背景に、中央の審議会が全国一律で50円を目安に引き上げるとした最低賃金。福島県では現在の900円が、10月5日から55円アップし955円に改正される。
この5年間で最も高い状況の一方、全国平均とは依然として開きもある。最低賃金を巡る受けとめも様々なようだ。

<最低賃金引上げ 福島県民は?>
最低賃金の引き上げをどう見ているのか、福島県民に聞いた。
◆30代専業主婦「子育てしていくうえで、子どもにお金がかかるので徐々にでも上がってくれれば良い」
◆20代契約社員「955円では足りない。都内ぐらいにして欲しいかなと個人的には思う」
◆40代会社員「減税とかをして、お金を回して経済成長させないことには賃金を増加させたとしても、それ以上に中小企業で社会保険料とか増えている」

<賃上げが必要な労働者は21.95%>
福島労働局は、最低賃金の改正により県内で賃上げが必要となる労働者は、全体の21.95%と推計。多くの労働者に関わることから、県内の経済団体に賃上げの徹底を呼びかけた。
福島労働局の鈴木孝春賃金室長は「上げ幅が大きいと、影響する労働者も例年より割合が高い。今まで以上にその辺を注意していかないと、最低賃金法違反を発生させてしまうことになるので、周知・広報をより気をつけてやっていかないといけない」と話す。

一方で、県内の労働組合で組織する連合福島は、県の課題と向き合うためにも継続した賃上げが必要と訴えている。
日本労働組合総連合会・福島県連合会の澤田精一会長は「福島は、人口流出という大きな課題もありますので、歯止めかけるためにも賃金引上げは継続して行っていきたい」と話した。
福島労働局は、中小企業の負担も増加することから、助成金等での支援も行うとしている。

<賃上げ疲れも>
東京商工リサーチによると、2024年度賃上げを実施した福島県内の企業は111社回答したうち83.8%となっている。全国の実施率を0.4ポイント下回ったものの、高い水準を記録している。
これは物価高を背景に、実質賃金のマイナスが26ヵ月連続と過去最長を更新していることから、徐々に賃上げが浸透していると見られている。

一方、賃上げを実施したと答えた企業のうち、5%以上の賃上げ率で実施した企業は、福島県は34.8%だった。全国の42.6%と大きく差がある。
東京商工リサーチの担当者は「多くの企業が対策や努力を行っている一方で、5%以上賃上げできる企業が少なくなっている」として、一部企業でいわゆる「賃上げ疲れ」があると指摘している。

人出不足が深刻化する中、安定した賃上げが実現できるような支援や対策が求められる。

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