(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)がウクライナへの侵攻開始以来初めて、ロシアを訪問し同国政府との協議を再開する方針を示したことに対し、複数の欧州連合(EU)加盟国はゲオルギエワIMF専務理事に異議を唱える考えだ。

事情に詳しい関係者によると、フランス、ベルギー、ポーランド、バルト沿岸と北欧の数カ国は11日のEU加盟国特使の会議で、ロシアに対する年次経済審査を再開するとしたIMFの決定に驚きを表明した。非公開の会議だったことを理由に、関係者は匿名を要請した。

リトアニアの代表は、13日にブダペストで開かれるEU加盟国財務相との昼食会で、ゲオルギエワ氏に直接この問題を提起する考えを示した。EUと米国がロシアの孤立化を図っているにもかかわらず、IMFの行動はプーチン大統領に経済的支援とある種の正当性を与えるように映ると、同代表は主張。

この代表はまた、主要国際機関が侵攻後初の代表団を派遣することで、ロシアの国際的な孤立が和らいでいるとのプロパガンダに同国政府が利用する恐れもあるとの懸念を示した。

IMFの動きは率先してロシアとの関係正常化を進めようとしているかのように見えるとし、リトアニアなどEU9カ国はゲオルギエワ氏に懸念を表明する書簡を送付した。

IMFは今週初め、ロシア経済が以前より「落ち着いた」ことを理由に、同国経済の年次審査を再開すると発表した。年次審査は「4条協議」とも呼ばれ、IMFは調査・評価の過程で相手国政府とも協議する。IMFはこの審査について、同基金と加盟国の「相互義務」だとしている。

IMFはロシア当局とのバーチャル形式の協議を16日に始め、その後対面での協議をするためスタッフが同国を訪問すると説明。関係者によると、訪問は10月1日からを予定している。

原題:EU Nations to Question IMF Chief Over New Russia Engagement (2)(抜粋)

--取材協力:Daryna Krasnolutska、Eric Martin.

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