(ブルームバーグ):米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、需給が逼迫(ひっぱく)する同社製品の奪い合いで一部顧客が不満を募らせており、緊張が高まっているとの認識を示した。
フアン氏は11日、サンフランシスコで開催されたゴールドマン・サックス・グループのテクノロジー会議で登壇。「需要は非常に高い。誰もが一番先になりたいし、誰もが最上位になりたがる」と発言。「感情的な顧客が恐らく増えている。それは当然だ。緊迫している。当社は最善を尽くそうと努めている」と述べた。
エヌビディアの次世代人工知能(AI)半導体「ブラックウェル」に対しては旺盛な需要があると、フアン氏は指摘。同社はハードウエアの物理的な生産を外部に委託し、サプライヤーは需要に追いつくために最大限の努力で前進していると同氏は語った。
エヌビディアの半導体は、データセンター事業者がAIモデルを開発・実行するために使用する。こうしたサービスへの熱狂的な需要を背景に、同社の売り上げは急増。株価も急騰しており、2023年に239%上昇したのに続き、今年は2倍以上に値上がりしている。
11日の米株式市場でエヌビディアは8.1%高の116.91ドル。6週間ぶりの大幅高で引けた。
同社はただ、収益の多くを少数の顧客に依存している。こうした顧客はマイクロソフトやメタ・プラットフォームズといったデータセンター事業者だ。
AIへの巨額投資は顧客に費用対効果をもたらしているのか、フアン氏は質問された。テクノロジー業界でAIへの熱狂が広がる中、それが懸念事項となってきた。
しかし同氏は、企業には 「アクセラレーテッドコンピューティング 」を取り入れる以外に選択肢はないと述べた。エヌビディアのテクノロジーは従来のワークロード(データ処理)を高速化するだけでなく、旧来のテクノロジーでは対応できないAIタスクも処理することができる。
エヌビディアは最も重要なチップの生産を台湾積体電路製造(TSMC)に大きく依存しており、それはTSMCがその分野で断トツのトップだからだと、フアン氏は説明した。しかし地政学的な緊張でリスクが高まっている。中国は台湾を自国の一部とみなしており、武力で統一を図る恐れがあるとの懸念が強まっている。そうなれば、エヌビディアは主要なサプライヤーから切り離される可能性がある。
エヌビディアの技術の多くは自社で開発しているため、代替サプライヤーに発注先を切り替えることは可能だと、フアン氏は指摘。ただし、そのような変更は半導体の品質低下を招く可能性が高いと付け加えた。
TSMCが持つ「当社ニーズへの対応能力と機敏さは、まさに驚くべきほどだ」と同氏。「TSMCが素晴らしいから、同社と取引するが、もちろん必要であれば、いつでも他のサプライヤーに切り替えることは可能だ」と続けた。
原題:Nvidia CEO Says Customer Relations ‘Tense’ Due to Shortages (1)(抜粋)
(エヌビディアの株価終値を加えます)
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