(ブルームバーグ):米民主党のハリス副大統領とトランプ前大統領が初めて顔を合わせる大統領候補者のテレビ討論会が、ABCテレビ主催で10日に行われる。現時点で予定される唯一の討論会だが、論議の中身よりスタイルが勝敗を分けると両陣営は考えている。
大統領候補2人のアドバイザーによると、争点に関する詳細な議論ではなく、どのように認知されるかやプレゼンテーションが決め手になると想定し、有権者の印象に磨きをかけ、弱点につまずく余地を相手に与えようとしている。
ハリス氏の陣営に近い民主党議員によれば、ハリス氏とそのチームは二つのポイントに重点を置く。事実確認を行い、「ショーマン」「弱い者いじめ」と見なすトランプ氏に立ち向かう最も効果的な方法を見いだすこと、ハリス氏の経歴をあまりよく知らない国民に彼女を紹介することだ。
一方のトランプ氏は、ハリス氏の答えが要領を得ない印象を与えることを期待し、ハリス氏に話す機会を与え、答弁能力を批判する材料にする構えだ。
ハリス氏に「語らせる」とトランプ氏、討論会戦略明かす-10日開催
投票日まで2カ月となり、世論調査で接戦が予想される両候補の狙いは、政策課題のポイントが曖昧なままでも、有権者に自分が最強の候補者だと納得させることだ。
東部ペンシルベニア州フィラデルフィアでの討論会は、ハリス氏の政治キャリアで最大の試練の一つになるだろう。バイデン大統領は、トランプ氏との最初で最後の候補者テレビ討論会で精彩を欠き、撤退圧力が一気に高まるきっかけとなった。
トランプ氏が経済や移民問題で攻撃してくるとハリス氏のチームは予想している。同氏の元側近は、政策に踏み込むことは有効ではなく、トランプ氏の侮辱的発言に「超然としている」と映るかどうかが成功の鍵だと指摘する。
バイデン政権で大統領首席補佐官を務めたロナルド・クレイン氏によれば、ハリス氏はトランプ氏の大統領在任時の「前科」を追及し、トランプ政権が混乱の中で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対応を誤ったという批判を前面に出すと考えられる。
これに対し、トランプ氏のアドバイザーらは、今回の討論会がバイデン氏に代わり民主党の大統領候補となったハリス氏の「蜜月期間」に幕を引く機会になると捉えているという。
原題:Harris and Trump Prepare for Style-Over-Substance Debate(抜粋)
--取材協力:Hadriana Lowenkron.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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