金融経済懇談会後に記者会見する高田創審議委員(5日、金沢市)

日銀の高田創審議委員は5日、金沢市で開いた金融経済懇談会で「物価が見通しに沿って推移するもとで、前向きな企業行動の持続性が確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と語り、今後の追加利上げを示唆した。利上げの判断について「毎回毎回、十分に時間をかけて状況をみながら対応する」との考えも示した。

高田氏は金融経済懇談会で講演し、記者会見した。「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」という基本姿勢を強調した。

高田氏は「金融・資本市場の動向が前提にはある」とも述べ、株式相場の動きなどを注視する構えをみせた。「8月初旬ほどではないが、ボラティリティー(変動率)が高まりやすい動きが生じている」との認識を示した。

前向きな企業行動の事例としては「ひとつの重要な要素として賃上げが考えられる」と述べた。ただ「単にこの数字をということで判断できるものではない」と加え、幅広いデータを丹念にみていく姿勢を強調した。

物価の上振れリスク要因としては「(企業による)値上げ」を挙げた。10月の価格改定に注目する。

日銀は物価が見通し通りに推移すれば、景気を熱しも冷ましもしない中立金利の水準まで政策金利を引き上げる方針を示している。高田氏は中立金利について「ピンポイントではない」とし、「相当慎重に、もしくは幅をもって考えていかないといけない概念で、なかなか実務的にこれということにはなりづらい」と話した。

9月には日銀の審議委員による発信が相次ぐ。11日に中川順子氏、12日に田村直樹氏が金融経済懇談会を予定しており、その内容が注目される。

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