(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループによると、米国の利下げが近いとみられる中でも、中国企業は保有しているドルを人民元に替える準備ができていない可能性があり、一部の投資家は中国勢によるドル売りの影響を過大評価している。

ゴールドマンのシンチュアン・チェン氏らアナリストは30日のリポートで、米中間の金利差がまだ大きいことや中国国内の地合いの弱さを踏まえると、中国企業にとって米国の資産は引き続き魅力的だと分析した。

ゴールドマンのチームは2022年半ばから約4000億ドル(約58兆円)が中国の輸出企業にため込まれていると試算しているが、これは一部の市場予想を下回る規模だ。

ユリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)は、米国が利下げに踏み切れば、中国企業が1兆ドル相当のドル建て資産を売却し、人民元が最大10%上昇する可能性があると見込んでいる。

ゴールドマンは「22年半ばから24年にかけて、輸出勢のドル保有はかなり減ることをわれわれの指標は示唆している」と説明。

「最近の元高・ドル安は、主に外部要因、特に米連邦準備制度の利下げ加速と米選挙の影響によるもので、人民元のショートが抑制される」と指摘した上で、中期的には中国国内の弱いファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の影響が勝り、人民元は他の主要通貨を下回るパフォーマンスになると予想した。

ユリゾンSLJのジェン氏は人民元の本国還流の影響について、「雪崩が起きると考えた方がいい」と述べ、人民元は恐らく上昇し、中国政府は5-10%程度の元高を許容するとの見方を示していた。

原題:Goldman Pushes Back Against Jen’s Yuan ‘Avalanche’ Warning (1)(抜粋)

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