静岡県内に本社を置く企業のメインバンク(主力金融機関)で地域金融機関の存在感が増している。東京商工リサーチの調査によると、県内に本店を置く13の金融機関のうちリテール(個人向け)に注力するスルガ銀行以外は社数を伸ばした。首位は静岡銀行の1万7447社でシェアは39.4%だった。

県内の4万4256社を対象に3月末時点で集計した。2位は浜松いわた信用金庫(浜松市)で4726社、シェアは10.7%。運営する起業支援拠点「FUSE(フューズ)」などを通じたスタートアップ育成に力を入れ前年から221社伸ばした。しずおか焼津信用金庫(静岡市)が3094社、7%で続いた。

9位以下でもシェアオフィス「ぬましんCOMPASS」を運営し新興企業の経営課題解決支援などを強化している沼津信用金庫(沼津市)が52社伸ばし、遠州信用金庫(浜松市)も41社伸ばした。行員によるきめ細やかな客先訪問を強化している静岡中央銀行も2年連続で社数を伸ばした。

一方、スルガ銀行は2288社で前年(2291社)からわずかに減らした。メガバンクではみずほ銀行が前年(434社)から9社減り425社となった。シェアでみるとスルガ銀、島田掛川信用金庫(掛川市)、静清信用金庫(静岡市)、富士宮信用金庫(富士宮市)は数字を落とした。

県内に本店を置く13金融機関の県外企業も含めた取引社数をみると、営業エリアの広い地銀や2019年に合併した信金が上位に入った。1位の静岡銀、2位の浜松いわた信金までは県内企業での順位と同じだが、3位に神奈川県や東京都内などに支店を持つスルガ銀が入った。

近隣では25年1月に愛知銀行と中京銀行が合併して「あいち銀行」となり、八十二銀行と長野銀行が統合して26年1月に「八十二長野銀行」が誕生するなど金融再編が進む。手数料が安く時間を問わずに利用できるネット銀行の普及もあり、東京商工リサーチは「顧客が求める金融機関のあり方は変化している」と指摘する。

さらに企業倒産の増加もあり「金融機関は事業再生支援の力量が求められており、取り組み次第ではメインバンクの変更が進むことも現実味を帯びている」とみる。

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