賃上げの波が中小企業にも及んできた(大津市の滋賀銀行本店)

滋賀銀行のシンクタンク、しがぎん経済文化センター(大津市)がまとめた県内企業調査によると、2024年度中に正社員の賃上げを「実施する」と回答した企業の割合が全体の78.4%に上り、14年度の調査開始以降で最高だった。有効回答を得た236社の大半が中小企業で、賃上げの波が大企業以外にも及んできた可能性がある。

調査は6月に実施した。賃上げを「実施する」と答えた企業の割合は、製造業で84.7%と、非製造業の73.9%を上回った。賃上げを実施するとした185社にその手段を複数回答で聞いたところ、「定期昇給」の割合が81.6%と最も高かった。「ベースアップ」は54.6%。定期昇給とベースアップの「両方」は39.5%だった。

賃上げ率では「3%台」(25.3%)と「2%台」(20.3%)の合計が半数近くを占めた。「5%以上」は17.0%だった。

賃上げする企業に複数回答で理由を尋ねると、「従業員の確保、モチベーションアップのため」が91.9%に上った。「物価上昇に配慮するため」が69.7%で続いた。

調査を担当した長山真由美主任研究員は「中小企業は足元でコスト上昇分を製品やサービスの価格に十分転嫁できていると言いがたいが、必要な従業員を確保し、やる気を高めるため賃上げに踏み切らざるを得ないのが現状だ」と指摘する。中小企業で業績改善が賃上げに波及する「好循環」が生まれているかについては判断を避けた。

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