日本生命保険は外貨建て保険で、販売会社に支払う手数料を見直す。初年度の手数料を引き下げ、次年度以降の比率を高める。外貨建て保険の手数料は初年度に多く受け取れる「L字型」となっており、短期間の乗り換えを誘発しているとの指摘があった。含み益が一定の水準に達すると円建てに切り替わる「目標到達型」も廃止する。

一時払いが主流の外貨建て保険は、契約者から預かった保険料を米ドルや豪ドルなどの外貨で運用する。超低金利環境で円建て保険の利回りが低迷する中で人気を集めていた。円安局面で受取額が膨らむ半面、円高に振れると円換算後の受取額が支払った保険料を下回る恐れがある。

日本生命は2025年4月以降の新契約分から、初年度手数料を合計手数料の半分程度に引き下げる。これまでは大半の契約で初年度手数料が全体の9割を占めていた。初年度の手数料を引き下げることで、短期解約や乗り換えを防ぐ狙いだ。L字型の手数料を改定するのは国内生保で初めてという。

外貨建て保険を巡っては、短期間での解約が頻発しているとして金融庁が警鐘を鳴らしていた。金融庁の調査では、外貨建て一時払い保険の約6割が加入後4年以内の短期間で解約されていた。

金融庁によると、外貨建て保険の手数料の多くがL字型となっていた。初年度に多額の手数料が生じると、販売会社は新規契約の獲得や乗り換えを重視し、2年目以降の顧客へのアフターフォローが手薄になりがちになる恐れがある。

目標額に到達すると自動的に利益を確定し運用利回りが相対的に低い円建ての運用に切り替わる「目標到達型」の商品設計も乗り換え販売を加速する要素になっているとの指摘があった。日本生命は25年4月以降の新契約から、目標到達型の販売も取りやめる。

他社も外貨建て保険の商品体系の見直しに動いている。第一生命ホールディングス(HD)傘下の第一フロンティア生命保険は10月から、外貨建て保険の運用目標値の下限を現状の105%から120%に引き上げる予定だ。第一生命保険では24年5月から、新契約時に到達目標を設定できないようにしている。

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