温暖化ガスを多く出す石炭火力からの転換などトランジションファイナンスの重要性が高まっている

日本政策投資銀行は企業が脱炭素に移行するための事業に資金を使うトランジションボンド(移行債)を8月中に発行する。発行額は100億円で、国内金融機関による発行は初めてという。企業の資金需要に応えつつ、トランジションファイナンス市場を活性化する狙いがある。

移行債は調達した資金の使途を脱・低炭素化に取り組む企業が対象の「トランジションローン」「トランジションリンクローン」に絞るのが特徴だ。第三者評価機関から認証を得た融資に限定し、取引先企業の脱炭素化につなげる。

今回発行する債券の期間は5年で表面利率は0.511%。都市銀行や独立行政法人、地方自治体などの投資家から資金を集める。

発行の背景には省エネや燃料転換などで段階的に温暖化ガス排出量を削減していくトランジションファイナンスの重要性が高まっていることがある。技術やコストの観点から全ての産業が一足飛びに脱炭素化を実現するのが難しいためだ。

経済産業省によると、移行にかかるファイナンスの累計国内調達は2023年12月時点で約1.6兆円に上り、増加傾向にある。国内ではマツダなどの事業会社が移行債を出したケースがある。政府も2月にGX経済移行債を発行した。

政投銀は14年に環境配慮企業に融資するグリーンボンドを国内金融機関で初めて発行したほか、サステナビリティボンドも毎年継続発行するなど、環境対応の融資に力を入れてきている。

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