ECBはインフレ圧力を見極めるため賃金動向に注目する(ラガルド総裁)=ロイター

【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)が22日発表した4〜6月期のユーロ圏の妥結賃金は、前年同期比3.55%上昇した。伸び率は2四半期ぶりに鈍化し、1〜3月期は4.74%に加速していた。次回9月の理事会での追加利下げへ一歩前進した。

妥結賃金は労使間の交渉に基づく賃上げの動きを捉える指標だ。大幅な賃金上昇が長引けば個人消費の持ち直しや企業の値上げを通じてインフレが一段と粘着的になる恐れがあり、ECBが動向に注目してきた。

妥結賃金の伸び率は1〜3月期に4.74%と米金融危機後で最高水準に跳ね上がり、4〜6月期に鈍化するかが焦点だった。賃上げの動きは2025年にかけて後退する見通しで、ECBの期待に沿った内容になった。

ドイツやフランスで待遇改善を求めるストライキが長引いてきたなか、賃上げの動きが一巡した可能性がある。伸び率が3%台まで鈍化するのは、22年10〜12月期以来だ。

ECBは6月会合で4年9カ月ぶりに利下げを決めた後、7月は政策金利を据え置いた。当面の利下げペースは「特定の道筋を確約せずにデータ次第」との方針を維持している。

市場は次回9月12日の会合での追加利下げをほぼ確実視する。主要中央銀行の首脳や経済学者が集まる経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が8月22日から開かれ、ECBからはチーフエコノミストのレーン専務理事が参加する。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。