中部3県(愛知、岐阜、三重)に本店を置く地方銀行7行の2024年4〜6月期決算(単体)が14日出そろい、最終的な利益を示す税引き利益は5行で前年同期から増加した。本業のもうけを表すコア業務純益(投資信託解約損益除く)は6行で増益となった。日銀のマイナス金利解除に伴う金利上昇が追い風となり、本業の好調が目立った。

コア業務純益は7行合計で315億円と、前年同期比22%増えた。けん引したのは貸出金利息などの資金利益で、7行中5行が増益だった。融資量の伸びに加え、金利上昇も寄与した。

大垣共立銀行のコア業務純益は前年同期比84%増の40億円だった。3月に日銀がマイナス金利を解除した影響で市場金利が上昇し、貸出金利息は増加した。企業の好業績で保有株式の配当金も増えた。

資金利益が15%と大幅に伸びた名古屋銀行の飯田篤経営企画部長は「融資量の増加と貸出金利回りの若干の改善が要因」と話した。十六フィナンシャルグループ(FG)の児玉英司常務執行役員も「預貸金の利ざやが若干改善している」と述べた。

貸出量は引き続き住宅ローンがけん引する形で増加している。6月末時点の個人向けローン残高は7行合計で1年前から6%増え、貸し出し全体の38%を占める。

住宅ローンの変動金利などの基準となる短期プライムレート(短プラ)が上昇すれば、今後は既存の住宅ローンからの金利収益も増加する。あいちフィナンシャルグループ傘下の愛知銀行と中京銀行は14日、短プラを10月から引き上げると発表。両行を含め中部地銀6行が引き上げを決めた。

記者会見するあいちFGの北川氏(14日、名古屋市)

4〜6月は外貨調達コストの減少も増益要因となった。海外金利の上昇で含み損を抱えた外国債券を、各行とも24年3月期までに減らした影響が大きい。名古屋銀行は資金調達費用が前年同期から7億円減少。大垣共立銀行も「外債残高を減らしたことで、外貨調達費用が減った」(五藤義徳取締役)。預金金利の引き上げによるコスト増加を打ち消した。

取引先の倒産などに備えて計上する与信関係費用は5行で減少した。新型コロナウイルス関連融資の返済本格化などを踏まえ、保守的に見積もっていた反動が出た。

あいちFGの北川敏之経営企画部長は「金利が上がれば顧客の負担は増す。コスト高の影響もあり不確実性がある。通期の与信費用の見通しは変更しない」と話した。

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