(ブルームバーグ):米モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、景気の不透明感と企業業績予想の低調さというダブルパンチにより、株式相場の上昇は抑えられる可能性が高いとの見方を示した。

ウィルソン氏はリポートで、マクロ経済データは短期的には明確なシグナルを発しないとし、S&P500種株価指数が5000-5400ポイントのレンジで推移すると予想。このレンジの上限は現在の水準からわずか1%の上昇、下限は6.4%の下落を意味する。

さらに、季節的な低調さに沿った形で、利益に関するアナリスト予想は下方修正の数が上方修正を上回ると見込まれると指摘。それが、「通常7-9月(第3四半期)が株式にとって最も厳しい時期となる理由の一つ」だと記した。

リセッション(景気後退)を防ぐ上で金融当局の行動が遅過ぎるとの懸念から、ここ1カ月にわたり米国株市場には動揺が広がった。S&P500種は先週からの下げの大半を取り戻したものの、なお7月中旬に記録した最高値を6%近く下回っている。現在市場の注目は、14日発表の米消費者物価指数(CPI)に移っている。

リポートでウィルソン氏は、債券市場は金融当局が「後手に回っている」ことを織り込んできているが、株式のバリュエーションはまだそのリスクを十分に反映していないと指摘。同氏は、堅調な利益見通しと力強いバランスシートを持つディフェンシブ銘柄を選好していると、改めて説明した。

JPモルガン・チェースのミスラフ・マテイカ氏も、夏場の株式相場は伸び悩むと予想する。

マテイカ氏率いるチームはリポートで、「米連邦公開市場委員会(FOMC)は利下げを始めるだろうが、利下げは受動的で、政策が後手に回っていると捉えられる可能性があり、株式相場の持続的な上昇にはつながらないかもしれない」と記した。

原題:Morgan Stanley Says Unclear Growth Signals to Cap Stock Gains(抜粋)

--取材協力:Kit Rees.

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