(ブルームバーグ):ウォール街の大規模ローテーションと称されていた小型株への資金シフトは、始まったのが素早かったように失速するのも速かった。

数週間にわたり投資家の関心をようやく引きつけていた銘柄が、今や大量の資金引き揚げに見舞われている。米経済成長見通しが再考されているためだ。株式相場が大荒れとなる中、上場投資信託(ETF)「iシェアーズ・ラッセル2000ETF(銘柄コードIWM)」からは9日までの5日間に26億ドル(約3830億円)の資金が流出。流出規模はほぼ3年ぶりの大きさだった。ブルームバーグがまとめたデータで明らかになった。売りの最悪期はまだこれからだと多くはみており、IHSマークイットのデータによると、同ファンドの発行済み口数に占める空売り比率は昨年12月以来の水準に急上昇している。

IWMの原指数であるラッセル2000指数は7月に10%上昇し、月間ベースで昨年末以来の大幅高を記録した。ただ、8月に入って以降は約8%下落。米経済の健全性や米金融当局がリセッション(景気後退)を回避できるかどうかを巡り、懸念が広がり始めたことが背景にある。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の、エリック・バルチュナス氏は「トレーダー群は小型株から脱出しつつある」とX(旧ツイッター)に投稿。「買いが続いた約2週間は楽しかった」と記した。

投資家は少なくとも7月の数週間にわたって、小型株に熱狂していた。低金利時代の到来などで恩恵を受けるとみていた。それまでは年初来の大半において、相場上昇の原動力となってきたエヌビディアのような巨大テクノロジー株が選好されていたが、いわゆる「グレートローテーション」で大型ハイテク銘柄は後塵を拝し、小型株が本格的に上昇し始めていた。

それが全て過去数日に再びリプライスに見舞われた。7月の米雇用統計が予想よりも弱い内容となり、米景気の健全性に関する懸念が再燃した。

ベスポーク・インベストメント・グループのストラテジストは「投資家が過去数週間に懸念を強めたということは、一つ確かだ」とリポートに記した。

ベッタファイのセクター・産業調査責任者ロクサーナ・イスラム氏は「小型株へのシフトは機が熟しきっているとみられるが、労働市場の指標で最近見られる弱さを背景に景気見通しに関する不透明感が強まっており、投資家は大型株にしがみついている」と指摘した。

原題:Great Stock Rotation Fizzles as Small-Cap ETF Loses Billions(抜粋)

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