バークシャー・ハサウェイの年次株主総会に現れたバフェット(5月3日、ネブラスカ州オマハ) REUTERS/Scott Morgan
「リスクが極小で利益が極大」の投資機会をめざす「投資の神様」が早々にアップル株やバンク・オブ・アメリカ株を大量に売却していた意味は
ウォーレン・バフェット率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイは、保有株を大量に売却して手持ちの現金を増やしている。
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同社が発表した第2四半期報告書によれば、6月30日現在の現金保有高はおよそ2770億ドル(およそ40兆5700億円)と過去最高に達し、第1四半期末の1890億ドル(およそ29兆円)と比べて大きく増加している。
第2四半期には、保有していたアップル株を大量に売却して7億9000万株から4億株へ50%近く減らしたことが5月3日に判明し、投資家の同様を招いていた。
「投資の神様」バフェット(93)は世界で最も著名な投資家に数えられ、フォーブス世界長者番付でトップ10にランクインしている富豪だ。
ネブラスカ州オマハに住んでいるため「オマハの賢人」とも呼ばれ、世界の投資家たちが彼一挙手一投足に注目し、分析している。
米調査会社CFRAリサーチのディレクター、キャシー・シーファートは本誌に対し、「バークシャー・ハサウェイは現金保有高を着々と増やしてきたが、ここ最近でそれを加速させたのはおそらく、社内で保守的な傾向が強まっていることの表れだろう。大型株を巡る最近の同社の動きを見れば明らかだ」と語った。
シーファートが言及したのは、バークシャー・ハサウェイが、アップル株とバンク・オブ・アメリカ株を削減するという決断をしたことだ。バークシャー・ハサウェイは7月中旬、バンク・オブ・アメリカ株およそ3400万株を14億8000万ドル(約2330億円)で売却している。
適正な価格の会社がない?
「株式市場が悪化する局面では、バークシャー・ハサウェイは、短期的・中期的に日和見主義になる」とシーファートは述べている。
シーファートは、バークシャー・ハサウェイが慎重になっているのは市場が変動する可能性があるからで、相場が安定すれば再び投資機会を狙ってくるという。
またバークシャー・ハサウェイは、適正な価格で購入できる事業や個別銘柄が見つからない場合、手元に現金をためたままにしておくこともあると、ニューヨーク・タイムズ紙は指摘する。
バフェットは、5月に開催されたバークシャー・ハサウェイ年次株主総会で、現金保有高についてこう述べている。「ぜひ投資したいと思っている。しかし、リスクがきわめて小さく多額の利益を得られる案件だと判断できない限りは投資しない」
バークシャー・ハサウェイは現在、投資の大部分を5社に集中させている。最大の投資先はいまもアップルで、およそ840億ドル(およそ12兆円)相当の株を保有している。
バフェットは5月の株主総会で、自分はいまでもアップルのファンだが、売却益にかかる連邦税率が上がる可能性があるため、現時点で一部の株を売却することは理にかなっていると述べた。
オンライン金融取引を手掛けるアヴァトレードのチーフ市場アナリスト、ケイト・リーマンはメールで、アメリカが景気後退に向かっているという懸念が強まっており、先行きは不透明だと述べた。
中東で緊張が高まっていることもあり、投資家が資金を引き上げ、その結果として株価が下落している、と述べた。
「ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイがアップル株の50%を売却したというニュースだけで、警戒感がさらに増し、否定的なセンチメントが高まった」とリーマンは述べた。
「こうした混乱のなかでは、投資家がより安全な代替策を模索するのは当然だ。現状、トレーダーたちは債券や金(ゴールド)に向かっている」とリーマンは続けた。
世界各地の株式市場は8月5日、暴落した。米国の7月の雇用統計が低調だったことを受け、世界最大の経済国である米国の景気後退がますます懸念されたからだ。
(翻訳:ガリレオ)
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