大雨による農業被害を把握するため、酒田市の地元JAが現地を見て回った。生産者からは「農家だけでは何ともできない」と支援を求める声が上がっていた。
酒田市・遊佐町を管轄するJA庄内みどりは、8月2日、農業被害があった地域に職員を向かわせた。
まず訪れたのは甚大な被害を受けた酒田市の北青沢地区。はん濫した荒瀬川沿いにある田んぼを確認した。水は引いたものの田んぼには泥や流木が入り、稲が隠されていた。
(JA庄内みどり・渋谷佐一代表理事常務)
「想像以上にかなりひどい惨状だと思う。水をどのくらい被ってしまったか、日数にもよるが、穂が出てしっかりこれから病害虫の防除をしてからでないと判断できない分はあるが、中にかなり土砂が入っているので仮にこのまま生育しても収穫できるかどうかは不透明」
近くにあった農業用の小屋も、水圧によるものなのかシャッターが壊れ、中の農機具が泥をかぶっていた。
JA庄内みどり管内では、作付けした田んぼの約7割にあたる7000ヘクタールで、土砂の流入や浸水の被害があった。
そして、浸水被害がなかった田んぼでも、水路が土砂でせき止められたり、水を送るポンプが壊れたりして、穂が出る今の時期に欠かせない十分な水が行き届かないおそれがある。
北青沢地区でコメを育てる荒生隆さんは、「農家だけの力ではどうしようもない」と話す。
(生産者・荒生隆さん)
「水がこれから一番必要な時に水が使えないので、収穫量・品質が心配。個々で対応する状態ではない。国・県が方針を決め、どんな施策で対応するのか…」
大雨被害は田んぼだけではなく施設にも及んでいる。
(JA庄内みどり・松山カントリーエレベーター利用組合・佐藤伸二組合長)
「この線のところまで水が上がった。全部この下が水没した状態」
酒田市松山地区にあるコメの乾燥や貯蔵を行うカントリーエレベーターは、約3日間、2メートル近くまで水に浸かり、機械を動かすための制御機器も全て水没した。
(JA庄内みどり・松山カントリーエレベーター利用組合・佐藤伸二組合長)
「ここが動かないということは、心臓部なので(施設が)全部動かない状態」
施設では松山地区の田んぼ約270ヘクタール分のコメを扱っていて、今年は9月中旬から稼働する予定だった。
復旧が進まなければ、無事に稲刈りまでこぎ着けたとしても、コメを出荷することができなくなる。
何とか受け入れ先を探しているが、いまの時点で半分の約150ヘクタールの受け入れ先がない状態。
そして、酒田市刈屋にある荒瀬川沿いのナシ畑には、木や泥・家財道具のようなものも流れ着いていた。
(ナシ農家・土井正幸さん)
「今年はダメだと思う、俺は。今年の品物は諦めて来年以降、来年・再来年につなげるための作業だと思っている」
この日は家族や知り合いなど10人が手伝いに来て、畑を覆う泥などの片づけに追われていた。大雨が襲ったのは、収穫まで残り1カ月のタイミングだった。
(ナシ農家・土井正幸さん)
「根本だけ水浸しになったくらいは数回あるが、この180センチの棚まですっぽりくぐったのは初めて」
JA庄内みどりによると、全体の約4割のナシ畑に被害が出た。中には苗木から植え直す必要がある畑もあるという。
(ナシ農家・土井正幸さん)
「収穫まで最低でも10年。それからだから…」
JA庄内みどりは被害の全容把握に向け引き続き調査を進めるとともに、「国や県・市などと協力しながら復興を目指したい」としている。
※農家を辞める選択も視野に入れなければならない辞める人もいると思う
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