英イングランド銀行

【ロンドン=大西康平】英イングランド銀行(BOE)は1日、政策金利を発表する。物価目標の2%を達成したとして、4年5カ月ぶりの利下げを決める可能性がある。根強いインフレ圧力への懸念も残るため、慎重に議論する見通しだ。

7月31日まで開く金融政策委員会の決定内容と、経済や物価見通しを示す四半期ごとの金融政策報告書を発表する。ベイリー総裁の記者会見も予定される。

利下げが決まれば、新型コロナウイルスが感染拡大した2020年3月以来となる。利下げ幅が0.25%では政策金利は5%となり、1年2カ月ぶりの低水準となる。

利下げの観測が出るのは、6月の消費者物価指数の前年同月比の上昇率が、BOEの物価目標となる2%まで低下したためだ。

ただインフレ圧力は根強いとして、政策金利を08年以来の高水準となる5.25%に8会合連続で据え置くとの見方もある。サービス価格を左右する賃金上昇率が5月に5.7%と高止まりをしているためだ。

声明文の文言変更の有無もポイントとなる。金融政策の先行きについては「十分に長い時間引き締めを維持する必要がある」や「現在の政策金利の水準をいつまで維持すべきか検討を続ける」との表現を前会合まで続けている。

ベイリー総裁の会見での発言も注目される。前会合に合わせて出したコメントでは「インフレが低水準にとどまることを確認する必要がある」として、今後の利下げ時期についての明言を避けていた。

ロンドン証券取引所を運営するLSEGによると、7月31日時点で市場の7割弱は8月の利下げ、3割強が据え置きを予想する。メインシナリオでは、年内に計2回の利下げが想定される。

欧州の中央銀行では利下げが広がる。欧州中央銀行(ECB)は6月、4年9カ月ぶりに政策金利の引き下げを決めた。スウェーデン中銀も5月に8年ぶりの利下げに踏み切った。

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