瀬戸内海汽船が運航するフェリー「シーパセオ」

広島銀行は31日、観光振興を手がける瀬戸内ブランドコーポレーション(SBC、広島市)子会社を通じ、フェリーを運航する瀬戸内海汽船(同)に出資すると発表した。出資額や出資比率は非公表。瀬戸内海汽船は広島、呉、松山の3市を結ぶ旅客船を運航しており、利用客の低迷などで2023年12月期末時点で7億5600万円の債務超過に陥っていた。金融機関の支援を受けて経営再建を図る。

ひろぎんホールディングス(HD)傘下の広島銀とひろぎんキャピタルパートナーズ(広島市)が運営する投資ファンドが29日、SBC子会社の瀬戸内海ホールディングス(HD、同)の第三者割当増資を引き受けた。瀬戸内海HDは同日、瀬戸内海汽船に出資した。

瀬戸内海汽船は23年12月期の最終損益が1億6400万円の赤字で、24年12月期も4期連続の赤字を見込む。ビジネス需要を中心に旅客フェリーや高速船の利用者が新型コロナウイルス禍前に戻りきっておらず、7〜8割程度にとどまる。運賃を引き上げたが燃料価格の高騰などをカバーしきれていないという。

資金調達により燃費効率の高い新たな高速船を建造する。燃費や修繕費、人件費といったコストの削減を狙う。

さらに広島銀からは債権放棄や債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)による金融支援を受ける。ガバナンスの強化を図るために取締役も1人受け入れた。広島銀の担当者は「地域のインフラとしてだけでなく、観光客の周遊を促す機能として不可欠な存在だ。今後も連携してサポートする」としている。

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