暗号資産(仮想通貨)の業界団体の日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は30日、税制改正要望書を金融庁に出した。申告分離課税の導入などを盛り込んだ。
海外では仮想通貨で運用する上場投資信託(ETF)が相次いでいる。日本でも税制改正を足掛かりに仮想通貨ETFの解禁につなげたい思惑がある。
仮想通貨の取引で生じた所得は現在は総合課税の対象となり、最大55%の税率が課される。要望書では2023年度に引き続き、株や債券、ETFと同様に20%の申告分離課税にするよう求めた。
日本ブロックチェーン協会(JBA)も同様の内容を盛り込んだ要望書をこのほど金融庁に提出した。
現在は仮想通貨は一律で雑所得の扱いになっている。株などの金融資産と同じように、譲渡所得に該当するケースがあるという考え方も示した。
損失については翌年以降3年の繰越控除ができるようにするよう要請した。現物取引だけでなく先物など仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)も同様の扱いにすることも要望した。
米国では23日に複数の証券取引所でイーサリアムの現物で運用するETFの取引が始まった。イーサリアムに先駆けて1月に同国で取引が始まったビットコインETFは、半年あまりで累計160億ドル超の資金流入があったとされる。
日本では仮想通貨ETFは取引できないが、仮に税制が総合課税のまま仮想通貨ETFの上場が承認された場合、税率が低い申告分離課税の対象となるETFの需要が高まり、既存の仮想通貨交換業者での取引が減る懸念がある。
このため申告分離課税が適用されてからETFが承認されるのが望ましいとの見方が業界内では根強い。
米共和党のトランプ前大統領は仮想通貨について「米国第一」の方針を掲げ、米国が技術やビジネスでリードすべきだとの考えを表明している。日本の仮想通貨業界からは「税制改正で日本の競争力を高めないと、米国と差がついてしまう」との声も出ている。
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