(ブルームバーグ): 23日の日本市場では円相場が全面高。日米の金融政策決定を来週に控え、円の売り持ち高を縮小する動きが続いた。債券相場は下落。株式相場は方向感を欠く展開の中、東証株価指数(TOPIX)が小幅高で取引を終えた。

  バイデン米大統領の大統領選撤退をひとまず消化し、市場の関心はおよそ1週間後に迫った日米金融政策決定に移りつつある。日本銀行を巡っては、自民党の茂木敏充幹事長が22日の都内での講演で、段階的な利上げの検討も含め金融政策の正常化方針をもっと明確に打ち出す必要性があると語ったと日本経済新聞が23日付朝刊で報じた。

  三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、日銀の金融政策決定会合で国債買い入れ減額と追加利上げが同時決定されるリスクに加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月利下げに向けたヒントが示される可能性から円高のリスクがあり、円売りしづらい環境だと話した。  

為替

  東京外国為替市場の円相場は対ドルで一時156円台前半まで上昇。日米金融政策決定を来週に控えた警戒感から、円買い戻しの流れが続いた。市場では156円台前半から155円台後半に位置する日足・一目均衡表の雲や18日の円高値(155円38銭)などのテクニカルポイントを抜けた場合の円高リスクも意識されている。

  スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は、円高の動きについて直接的な材料はなく、日米金融政策決定を控えて「円売りポジションの巻き戻しの動きが続いている」と指摘。米大統領選の不透明感やドル高・米金利高を見込んだトランプトレードの巻き戻しも円買いに寄与していると述べた。

債券

  債券相場は下落。日銀が来週開く金融政策決定会合で国債買い入れの大幅減額や追加利上げに踏み切ることへの警戒感がくすぶった。

  三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、金融政策の正常化を求める政治家の発言に加え、24日に行われる40年債入札を警戒した売りも一部に出ていたと指摘した。

  日銀は午前10時10分に定例の国債買い入れオペを通知。買い入れ額は全ての年限で据え置いた。

株式

  東京株式相場はTOPIXが4営業日ぶりに小幅反発。日銀の金融政策決定会合を来週に控え、金融正常化期待から銀行株が上昇した。通期営業利益予想を上方修正した日本郵船など海運株は上げが大きくなった。

  半面、電機や精密機器株は安く、相場の下押し圧力となった。日経平均は朝方の上げを解消し、午後にはマイナスに転じる場面が見られた。

  TOPIXの上昇に最も寄与したのが三井住友フィナンシャルグループで、1.9%の値上がり。指数構成銘柄2136のうち、1417銘柄が上昇、613銘柄が下落した。長期金利の指標である10年国債利回りが上昇基調を維持する中、業種別でも銀行業が指数の上げをけん引した。個別ではトヨタ自動車も堅調。同社は取引終了後に自社株の公開買い付け(TOB)の実施を発表した。

  三井住友DSアセットマネジメントの武内荘平シニアファンドマネジャーは、日銀の政策正常化への期待から金融株が上昇しているとし、政府関係者は最近正常化を求めるトーンを強めていると述べた。  

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